PROJECT CONCEPT

両国駅南側に立地する賃貸集合住宅。 かつて本所と呼ばれたこの地域は当時、江戸文化の中心として賑わった一帯であり、今も街を散策すれば江戸の名残を感じさせる多くの史跡に出会えるが、残念なことに周囲に乱立する様々な意匠の建築物がそのおもむきをかき消してしまっている。一方で両国国技館を構える駅周辺は、相撲人気に端を発してリニューアルされた江戸東京博物館、両国駅旧駅舎を改装した両国江戸NOREN、すみだ北斎美術館や刀剣博物館など、街歩きで訪れる人や外国人観光客にも人気のスポットが続々オープンし、街全体に江戸をテーマとする“両国ブランド”を期待する向きが高まりつつある。これらの背景をふまえ、この街に住まう人、街を訪れる人、それぞれの期待を裏切らず、かつてこの界隈に活気をもたらしていた鯔背な人々の暮らしぶりが伝わるような江戸の記憶をデザインで継承し、大相撲だけでない両国の魅力を伝えていければと考えた。例えば外観は網代模様の外壁と白木風の軒天井で構成し、誰もが和を感じとれる意匠に。また中庭の採光が人々の目線を奥へと誘い込むエントランスホールは間口の狭い敷地形状を活かした町屋造り風のプランニングを採用した。



DESING CONCEPT

本件デザインで江戸文化を伝承するにあたり、約8.4m×約40mという極端に間口の狭い敷地条件が逆に発想の起点となった。いわゆる“うなぎの寝床”であり、これを活かすため伝統的な町屋造りのゾーニングを採用し、吹抜け部から自然光と風が入るようにした。素材やディティールにもこだわり、壁材は藁すさを混ぜた左官壁、傍らに配したソファーは張地に江戸紫の特注カラーを使い、洗出しの床、白木の格子に沿って、江戸の町を縦横に走る水路をモチーフにした床の間接照明を設置。敷き並べたごろた石の表面にクリアラッカーを塗って水面の輝きを演出した。これらの趣向で設えたエントランスホールが日々利用する移住者のステイタスとなって、ここに住むこと、さらに両国に住まうことが嬉しいと感じていただければ幸いである。また街行く人々や外国人観光客にとっても歴史ある江戸の「和」を感じられるスポットとして愛される存在となることを願っている。



名称 ZOOM両国 総戸数 43戸+1戸(管理室)
住居表示 東京都墨田区両国二丁目2番6号 間取り ステューディオ・1LDK
構造・規模 鉄筋コンクリート造 地上11階建 事業主・売主 株式会社トーシンパートナーズ
敷地面積 337.83㎡(実測) 管理会社 株式会社トーシンコミュニティー