人生100年時代に備えた、堅実な不動産投資とは? 入居希望者の絶えない賃貸マンション「ZOOM(ズーム)」をひもとくと、 その答えが見えてくる。
東京の活力を生み出す拠点
「少々高くても、ZOOMに住みたい」 都心居住者のなかからそんなつぶやきが聞こえ始めたのは、2013年にZOOMシリーズがリリースされてすぐのこと。 渋谷を拠点とするクリエイティブワーカーを対象に開発された「ZOOM池尻大橋」に、入居希望のウェイティングが出て、同物件はそのデザイン性の豊かさとこまやかなプランが評価されて2014年度グッドデザイン賞を受賞した。 その後も、目黒、六本木、新宿、渋谷など首都圏を中心に独自のデザインをまとう「ZOOM」が続々と登場。これまでに合計52棟(2020年12月現在)が展開され、7年連続グッドデザイン賞受賞を成し遂げて、2019年には海外のデザイン賞も複数受賞した。 2019年にグッドデザイン賞を受賞した「ZOOM渋谷神山町」の開放感のあるエントランス。同賞は7年連続受賞「受賞作品をつくろうと意識しているわけではありません。けれど、マンションで東京をかっこよくしたいという思いは、ブレていません」と、トーシンパートナーズ代表取締役の千代谷直之は軽やかに言う。
「ZOOM」が目指すのは、そのエリアで最も高い賃料を有する単身者やDINKS向けの賃貸マンションである。 立地の良さは欠かせず、最寄駅徒歩10分圏内が譲れない条件だ。同時に、入念なマーケットリサーチを通してエリアのニーズを把握し、SAFETY(安全で、安心する)、SENSE(センスが刺激される)、PRACTICAL(実用的で使いやすい)の3つの価値の追求をコンセプトにしている。 「ZOOMを展開してわかったのは、ニーズはあるのに、それを満たす物件はなかったということでした。僕自身、賃貸マンションに住んでいたころは、もっとかっこいい、設備のいいマンションに住みたいと思っていましたから。そういう意味でも、自分たちが住みたいと思えるマンションをつくるという視点をとても大切にしています。要は、きちんとした、いいものをつくる。そこに、新しい機能を付加していくということですね。いま手がけている物件では、顔認証のオートロックシステムの導入を進めています」 デザイン性豊かなコモンスペースをゆったりと配すのもZOOMの身上だ。 「住まいにこだわるビジネスパーソンがコミュニケーションを取り、マッチングひいては起業にまで至るという、“ZOOM現象”とも呼ぶべき化学反応も起きています。東京の活力を生み出す拠点となること。それも、ZOOMに与えられたひとつの使命であると考えています」
信用力こそ、最大の強み
オーナーにとっては、賃貸管理から建物管理、そしてお客様相談まで、グループ企業が総力を結集して提供するアフターサービスも大きな魅力だ。 「トーシンオーナーズクラブ」では、マンション経営や資産運用に関する相談はもちろん、暮らしをより豊かにするライフプランのアドバイスなどを専任の担当者がワンストップで対応。 さらに、給湯器とエアコンの保証(10年間)と、修繕費用に充てられるポイントを組みわせた「ZOOMメンテナンスプラス」という手厚い無償サービスも用意されている。 「収益不動産を扱う企業にとって最大の強みとなるのは、信用力だと私は思っています。我々は創業時からバブル崩壊後の多難な時期を経て、これまで一貫して『嘘をつかない、正直に』という姿勢を維持し、その過程で、私たちができる最大限のサービスを追求してきました。当然コストはかさみますが、長いスパンで事業を拡大し、より大きな価値を提供するうえで、必要不可欠なものは決しておろそかにはできない。昨今発覚した不動産投資業界の不祥事や、金融機関の融資問題などは、総じて不誠実さから生じたもの。不誠実な企業が淘汰されるということは、我々にとってはむしろ追い風で、いい環境が整ったと判断しています」 好循環をもたらすために、入居者へのサービス提供にも心を配る。 肝心なのは、何か問題が起こってから対処するのではなく、常に能動的に働きかけることで何事もなく過ごせる状態をキープすること。信用力を上げるためにできることは、未知数なのだと語る。 不動産で新しい価値をつくるZOOMの今後の展望を尋ねると、晴れやかな表情とともに、意外な返答が戻ってきた。 「ZOOMに続くセカンドブランドを展開していきます。100年時代が深刻化する以前から、20代中盤の若い世代からも『ZOOMを購入したい』という要望がありました。若い世代の方にも無理のない価格帯で、少し郊外にステージを移し、ZOOMのコンセプトを踏襲しつつも、建物と賃料のベストバランスを図った物件をプランニングしていく予定です」 郊外でも入居需要はあるのか― 「数年前に、ZOOMブランドをこれまで展開してきたエリアよりも少し郊外で供給してみたのですが、あっという間に埋まってしまって。その後、別のブランド名で出した羽田空港近くのエリアでも、同様の結果が得られました。やはり、ニーズはあるのに、それに合う物件がなかった。今後もこうした市場の声にも応えていきたいと思っています」 さらに、企業としても、新たなビジョンを設定し、次の段階へ歩を進めるという。 「当社の企業理念は『共存共栄の、あしたをつくる。』ということで、すべての人がWin-Winになることを目指してきたのですが、地道な努力によりその目標に近づいてきたという充足感があります。 そこで、『不動産の新たな価値を創造し、一人ひとりの豊かな暮らしと、活力ある社会を実現する』というビジョンを掲げました。 収益不動産も、いろんなかたちがあっていい。オフィスでもいいし、ホテルでもいい。リノベーション物件を充実させ、さらにはファンド化する物件があってもいいでしょう。 多角的に展開をしながら、不動産の多様な価値をより多くのお客様に提供し、日本の不動産の価値を引き上げていきたいと考えています」 熱く語るその目には、トーシンパートナーズが手がける建物が塗り替えていく、未来の風景が映っている。 「Forbes JAPAN Web」2021.1.4 更新記事より転載 【Forbesのインタビュー記事はこちら】