マンション経営を始めようと思っていても「初期費用としていくら用意すればいいか分からない」という方もいるのではないでしょうか。
一般的には、1部屋単位で所有する区分マンションより、1棟を丸ごと所有する一棟マンションのほうが初期費用は高額になります。
初期費用だけで見ると区分マンションのほうが有利に見え、収益性だけであれば戸数の多い一棟マンションのほうが有利に見えます。
不動産投資の初期費用に関して理解を深めたうえで、キャッシュフローを考えていきましょう。そこでこの記事では、マンション経営に必要なさまざまな費用とその内訳についてご紹介します。
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マンション経営は10年単位で行う投資のため、長期的視点でキャッシュフローを考える必要があります。マンション経営の流れをイメージするためにも初期費用から順を追って理解することが重要です。
そこで、まずは「マンションを購入する」というマンション経営を始める段階でかかる初期費用についてご紹介します。
マンションを仲介で購入する場合、不動産業者に「仲介手数料」を支払います。仲介手数料は宅地建物取引業法で上限額が定められています。仲介手数料の上限額の求め方は以下の通りです。
例として、物件価格が5,000万円の場合を考えてみましょう。物件価格は200万円も400万円も超えているため、それぞれの区分の金額を合算して上限額を求めます。
以上の計算で求めた金額を合計したものが仲介手数料の上限額です。実際の仲介手数料は不動産会社との話し合いにより上限額内で決定します。
なお、計算が複雑なため、「(物件価格×3%+6万円)+消費税」で求めた金額を上限額として請求されるケースが一般的です。
マンション購入時の不動産売買契約書やローン契約時の金銭消費貸借契約書といった課税文書には「収入印紙」を貼付します。これにより「印紙税」を納める形になります。
不動産売買契約書の場合、物件価格が500万円を超えて1,000万円以下であれば5,000円、1,000万円を超えて5,000万円以下であれば1万円の印紙税がかかります。ただし、この金額は2020年3月31日までの間に作成される文書に対する軽減措置によるものです。※2019年12月20日に2年延長することを閣議決定。
なお、収入印紙は貼り付けた後に印章か署名で「消印」する必要があります。消印は印紙と文書にまたがるように印をつけます。消印がない場合は収入印紙と同額、収入印紙を貼り忘れた場合は貼付すべき収入印紙の3倍(自主的に申告すれば1.1倍)の金額が「過怠金」として徴収されるので注意しましょう。
マンションを購入する際には、不動産に関わる権利関係を公示するための不動産登記が必要です。マンションオーナーに関わる不動産登記は、主に以下の3種類となります。
所有権保存登記を行うかどうかは任意ですが、ローンを組むために必要です。完全に自己資金で物件を購入する場合を除いて、所有権保存登記と抵当権設定登記はセットと考えましょう。また、建物表題登記をしなければ新築マンションは書類上存在しない物件です。完成から1か月以内に登記しないと、10万円以下の過料が科せられます。
登記費用は5,000万円の物件を購入した場合、30万円~50万円程度必要になります。ほかにも登記上の書類や手続きは多く、司法書士に業務委託するのが一般的です。加えて、建物表題登記以外の登記には「登録免許税」もかかります。
区分マンションの場合にはかからない費用ですが、一棟マンションではかかる可能性がある費用として、建築確認申請の手数料があります。
マンションを新築したり増築したりする場合、「建築確認申請」を行う必要があります。建築確認の資格を持った地方公共団体の職員である「建築主事」、または民間の「指定確認検査機関」に建築物の設計図や仕様書を提出します。
この手続きはオーナーが行う必要はありません。手数料は設計費用に含まれることがほとんどで、金額は建築の規模により上下します。
不動産投資は自己資金だけで行うことは稀であり、金融機関で不動産投資ローンを組むことが一般的です。仮に物件価格の7割の融資を受けたとすれば、残り3割の自己資金と、ローン手数料が初期費用として必要となります。
手数料には事務手数料や保証料が含まれ、借入額の1%~3%となるのが一般的です。ここでお伝えした融資規模や手数料はあくまで目安であり、物件の資産価値や金融機関によって異なります。
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ローンを組む際に火災保険の加入が義務付けられている場合があります。火災保険はマンションが火災や落雷、強風で受けた被害を補償する保険となります。マンション自体に加え、家財や機械設備といった動産も保険の対象です。
地震保険は地震による崩壊や火災の被害だけでなく、津波や火山噴火の被害も補償する保険となります。火災保険に付帯する保険なので、地震保険に加入するには火災保険の加入が必須です。
近年は地震リスクの増大や異常気象の影響があるため、両方の保険に加入することをおすすめします。10年分を一括払いすれば費用を抑えられます。火災保険は一般的にワンルームマンションであれば広さにもよりますが10年契約で5万円前後になるケースが多いです。保障内容は保険会社によって異なるためあらかじめ確認するようにしましょう。
マンションや土地を購入すると「不動産取得税」が課せられます。税率は4%で、「固定資産税評価額×4%」で求められます。ただし、2021年3月31日までに取得した場合、軽減措置により税率は3%になります。さらに、新築住宅であれば1,200万円(認定長期優良住宅は1,300万円)の控除が受けられます。こちらは2020年3月31日までの特例です。
不動産取得税は購入時に支払うものではありません。購入してから半年から1年半後に請求されるので、支払いに備えて資金には余裕をもたせましょう。
また、改築によって評価額が上昇した場合にも取得とみなされます。この場合、リノベーション費用に加えて不動産取得税を再度支払うことになるため注意しましょう。
アパートやマンションを新築する場合、木造アパート(2階~3階建て)、鉄骨造アパート(2階~4階建て)、鉄筋コンクリートという順で価格が上がります。坪単価の相場は以下の通りです。
木造アパートでも高級な無垢材を使えば高価になり、また鉄骨造は軽量鉄筋造より重量鉄筋造の方が高いといった違いがあります。
建築費用は「坪単価×延べ床面積」で、おおよその総額が求められます。これは建物の本体代金のみの場合です。
敷地面積に対する建築面積の割合を「建ぺい率」といいます。建ぺい率の上限は地域によって異なり、上限値以内の建築面積の建物しか建てられません。
このため、敷地面積を有効活用する手段として、駐車場やフェンス、街灯を設置することも視野に入れましょう。建物本体以外の設備にかかる費用は、本体工事費用の20%ほどが目安となります。
ここまではマンション経営にかかる初期費用の内訳をご紹介しました。初期費用の総額は決して安くないため、安定したスタートを切るには余裕を持った自己資金を準備しておくことが重要です。しかし、手元に十分な資金がないという方もいるでしょう。そこでここでは、「初期費用を準備しないで不動産投資を始める方法はないのか」という疑問にお答えします。
不動産投資を行うためには高額な自己資金が必要です。では、「自己資金ゼロで不動産投資はできないか」というと不可能ではありません。
自己資金ゼロで頭金も払わずにマンション経営を始めるには、購入代金の全額を金融機関からの融資で賄う「フルローン」を組む方法があります。手元に資金がなくても始められる魅力的な方法ですが、デメリットも大きくなるため十分に検討することが重要です。
フルローンのデメリットのひとつは、借入額が大きくなるため利息額も大きくなり、その結果、総返済額も大きくなることです。また、借入金が大きいと金利が上昇した際に影響を受けやすいというのも重大なリスクになります。
物件を売却してもローンは残る場合があるため、厳密なキャッシュフローの計算が必要です。なお、フルローンの審査はオーナーの年収が一定水準以上で安定収入があることや金融事故がないことなど基準が厳しくなるので、融資を受けられない場合もあります。
購入代金はフルローンで賄えたとしても、そのほかに不動産取得税や登録免許税の支払いが必要です。管理会社に委託せずオーナーが自主管理する場合には広告費もかかります。フルローンは初期費用が抑えられる代わりに返済の負担が重くなるため、空室リスクに備えたり、リフォームに対応する自己資金を用意する必要があるでしょう。
このため、少なくとも新築マンションでは購入価格の10%、中古マンションでは20%ほどを目安に自己資金を確保しておくと安心です。
不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンの投資といわれます。ハイリスク・ハイリターンの投資に比べればリスクは少ないとはいえ、マンション経営にはリスクがつきものです。
10年単位の長期運用を前提とした不動産投資では、不動産特有のリスクやローンの問題を事前に十分検討することが必要になります。そこでここでは、マンション経営における代表的なリスクをご紹介します。
マンション経営の収益は主に入居者からの家賃収入となるため、空室リスクに備えることが重要です。
たとえば、大企業の工場近くの物件を購入すれば、空室が少なく安定した家賃収入が得られる見込みがあるでしょう。しかし、企業の業績が落ち込んで大量リストラが行われたり工場が移転したりした場合、賃貸需要が低下し入居者が一気に減る恐れがあります。入居者確保のために賃料の引き下げが必要となるかもしれません。
マンション経営を続けるなかで街の周辺環境は変化していくので、長期的な視点で物件選びをすることがポイントです。
金融機関でローンを組む場合、「固定金利」と「変動金利」のいずれかを選びます。通常固定金利の方が金利は高いので、変動金利の方が得に見えるかもしれません。しかし、変動金利は金融情勢によって金利が上昇する場合があります。変動金利は半年や1年に一度金利の見直しが行われます。
金利が上昇すると返済が困難になると予想できるなら、固定金利を選ぶか、購入物件を再検討することが無難といえるでしょう。
マンションはどんなに管理が行き届いていても老朽化による劣化は避けられません。特に中古物件は購入時点でリフォームが必要な場合もあり、新築よりも修繕費がかかると見込んで予算を用意したほうがいいでしょう。
大規模な修繕は10年から20年のサイクルで行われるのが一般的です。空室リスクを下げるためにも物件の魅力を維持する投資が大事になります。老朽化により入居者離れが進めば、家賃を引き下げることになるかもしれません。この場合、家賃収入が減ることでローン返済が困難になる恐れがあります。
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マンション経営では物件を維持するためにさまざまな費用がかかります。ローン返済のことばかり考えて維持費用のことを考慮しないと運営に支障をきたす恐れもあります。このため、キャッシュフローの計算には維持費用を含めることが必要です。なお、ここでご紹介する維持費用には毎月かかる費用と必要に応じてかかる費用があります。
マンションには住居、事務所、店舗、倉庫といった「専有部分」のほかに階段やエントランスのような「共用部分」があります。一棟マンションの共用部分はオーナーが管理する部分なので、光熱費や水道代を毎月支払うことが必要です。また、清掃費や保守点検にかかる費用もオーナーの負担となります。
共用部分の維持管理にかかる費用は「共益費」として入居者に負担してもらうことも可能ですが、入居者目線で家賃と共益費のバランスを考えることも重要です。
マンションの建物本体や周辺設備が破損した場合にかかる費用は「修繕費」、入居者が退去した際に原状回復するのに必要な費用は「リフォーム代」と呼ばれます。これらはオーナーが管理する部分なので自己資金から負担します。
「修繕積立金」は大規模修繕に備えて毎月積み立てます。一棟マンションでは、1人のオーナーが単独で積み立て、区分マンションでは、積立金をオーナー全員で出し合う形が一般的です。組合の口座に積み立てていき、大規模修繕時に口座の積立金をつかいます。
リフォーム代に関しては、入居者が入居時に支払う「敷金」を充てられます。
多くの場合、マンションの維持管理は管理会社に業務委託します。委託するのは共用部分の清掃といった「建物管理」と入居者の契約更新や家賃徴収を行う「入居者管理」です。管理費は管理会社によって異なりますが、家賃の5%程度です。
また、入居者を紹介してくれた不動産会社には入居者から徴収した「仲介手数料」を支払います。仲介手数料は家賃の半月分が相場です。
マンションの敷地や建物はオーナーの資産であるため、「固定資産税」が毎年課せられます。固定資産税は毎年1月1日時点の所有者が支払う税金で、「固定資産税評価額×1.4%」で求められます。ただし、2020年3月31日までに建てられた新築住宅で条件を満たしている場合には当初3年もしくは5年、軽減特例により2分の1に減額されます。
また、マンションが市街化区域内にある場合は「都市計画税」も課税されます。標準税率は0.3%で、税額の計算は固定資産税の計算式と同様です。都市計画税の軽減特例は建物にはなく、土地にのみ適用されます。
さらに、所有するマンションが5棟あるいは10戸以上となるか、年間事業所得が290万円を超えると「事業税」の課税対象となります。マンション経営は不動産貸付業にあたり、税率は5%です。
マンション経営は、自分で建物管理と入居者管理を行う方法だけでなく、管理会社に業務委託したりサブリース契約を結んだりする方法もあります。それぞれメリットとデメリットがあるため、自分に合った方法を選ぶことが重要です。ここでは、3つの管理方法の特徴をご紹介します。
マンションの建物管理と入居者管理を不動産管理会社に委託する方法です。建物の清掃や軽微な修繕、入居者募集や家賃回収といった管理業務を委託します。
オーナーは意思決定と会計をするだけで不労所得が得られるため、手数料に対する費用対効果が高い点がメリットです。ただし、管理会社によっては更新事務手数料やシステム料金といった別途料金を請求してくる場合があります。
「サブリース契約」とは、マンションをサブリース会社が借り上げて入居者に転貸する方法です。実際には入居者が住んでいなくてもサブリース会社に貸している状態になるため、一定額の家賃収入が保証されるというメリットがあります。
ただし、入居者がいる場合に受け取れる家賃よりも少なくなるのがデメリットで、すぐに借り手がつくような人気の物件の場合は機会損失の恐れがあります。
オーナーが自分ですべてを管理する方法もあります。手数料がかからないため、支出を抑えられることが最大のメリットです。
ただし、入居者の募集や共用部分の清掃といったすべての維持管理業務を自分で行うことになります。マンションの規模が大きいほど手間も時間もかかるため、不労所得を得る目的には向きません。本業としてマンション経営を行っていて、一人で管理できる範囲なら可能な方法です。
マンション経営がうまくいかず入居者がゼロになった場合、空き家の状態でマンションを放置すると建物や設備の老朽化が進み、ひどいときには「特定空き家」に指定されてしまうかもしれません。ここでは、空き家を放置するリスクとやむなく物件を売却するケースについて見ていきましょう。
マンション経営が難しくなり所有物件を空き家として長期間放置すると、「空家等対策特別措置法」により市区町村から「特定空き家」に指定されかねません。
特定空き家とは、倒壊の危険があったり衛生上や景観上の著しい問題があったりする建築物を指します。特定空き家に指定された場合、以下の取り扱いを受けるので注意が必要です。
空き家として物件を放置すると、行政処分を受けるだけでなく民事訴訟や刑事訴訟に発展する恐れがあります。
空き家は倒壊したり火災を起こしたりしやすい状態になっていることが多く、現実にそうなった場合は近隣住民の生命や財産を脅かしかねません。また、敷地から伸びる枝が歩行者や自動車を傷付けるケースもありえます。トラブルの元にならないよう空き家にしない経営努力が必要です。
ここまでは、マンション経営が難しくなったケースのリスクについてご紹介しました。経営を始めるなら不本意な売却をすることになるような管理は避けましょう。収益用不動産を運用する場合、収益を上げる方法を考え、変化に対応していくことが大切です。マンション経営を安定的・継続的に行うコツをご紹介します。
マンション経営では、ローンの返済だけでなく物件の維持管理や定期的な修繕の費用がかかります。想定外の出費にも対応できるように、自己資金には余裕をもたせ、ギリギリのキャッシュフローにならない資金計画が必要です。
例えば一棟マンションを所有する場合、大規模修繕の費用は100万円を超えるケースもあるため、家賃収入が黒字であってもローン返済が困難になる場合もあります。突発的な出費に対する備えを心がけ、毎月の家賃収入の中から余剰資金をプールしておきましょう。
マンション経営において重要なのは、家賃収入を途切れさせないことです。つまり、高い入居率の維持は欠かせません。入居率が高ければ、家賃下落のリスクも避けられます。
入居率を維持するコツは、入居者目線で「住みたくなる」マンションであり続けることです。入居者が求める機能やデザインを実現するため、設備投資を惜しまず管理に取り組みましょう。また、物件の周辺環境の動向をチェックするなど情報収集や街の変化への対応に常に気を配りましょう。
マンション経営のコツを理解しても、一人ですべてを担うのは大変です。そのため、マンション経営のベストパートナーとなる不動産会社を選ぶことが重要になります。不動産は長期運用を前提としているので、空室リスクや周辺環境の変化に対応できるパートナーと手を組むことをおすすめします。
収益用不動産のノウハウを十分に蓄積したパートナーであれば、キャッシュフローのアドバイスはもちろんオーナーが対応できない入居者のトラブル解決にも活躍してくれるでしょう。
毎年多くのお客様がトーシンパートナーズでマンション経営をスタートしています
将来に漠然とした不安を抱えてはいるものの、なにをしたらよいかわからない……。
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マンション経営と聞くと空室の発生や、家賃の下落・滞納・資産価値の下落などの不安要素が思い浮かぶかもしれません。ですがパートナーとなる会社次第で、ご不安は限りなくゼロに近づけることができます。
家族のために、自分のために、未来の安心のために、ローリスク&ロングリターンな資産運用を始めてみませんか?
マンション経営のオーナーは、初期費用やローンの問題、継続的にかかる費用、経営していく上でのリスク、管理方法の選択と不動産特有のさまざまな課題を乗り越えていく必要があります。そのため、十分なノウハウを持っていなければ、リスクの予測や対処は困難です。信頼できるパートナーと手を組めば、安心してマンション経営ができるでしょう。
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