不動産投資で節税をするために経費で不動産所得金額を抑えたいという方もいるのではないでしょうか。必要経費の項目と費用の内訳を頭に入れておくことで、経費計上の漏れを防ぎ本来払う必要のない税金を払わないようにすることができます。
さまざま支出項目がある不動産投資では、経費になるものとならないものを区別して考えていくことも重要です。そこでこの記事では、不動産投資で経費になるものとならないものの項目と確定申告についてご紹介します。
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不動産投資では、さまざまな支出項目があります。まずは、経費として計上できるものをご紹介します。
確定申告の際には、節税のためにも最低限の項目をもれなく経費計上しましょう。経費になることを意識しないまま確定申告を迎えると、必要な領収書や取引の記録が探せなくなっているかもしれません。記録は忘れずにとっておきましょう。
分譲マンションの区分所有者になった場合、マンションの所有者で組織される管理組合に加入します。管理組合の役割は、管理費を集めたり修繕積立金を積み立てたりしてマンションの全体を管理することです。
この管理費や修繕積立金は経費計上できます。実際の管理業務は、外部の建物管理会社に委託することが通例です。1棟マンションの所有者になった場合は、管理組合を経由せずに建物管理会社と契約できます。修繕積立金は、共用部分の大規模修繕のために積み立てるお金です。外装の塗り替えや階段の補修などに使います。
入居者が退去すると、次の入居者を募集するために原状回復の工事をします。部屋の掃除やクロスの張り替え、フローリングの補修などをすることが原状回復です。原状回復にかかった費用は「修繕費」として経費計上できます。
建物管理については前述しましたが、こちらは賃貸の管理にかかる費用です。賃貸管理では、入居者の募集やクレーム対応、家賃集金などを行います。この業務を外部の賃貸管理会社に委託する場合に発生するのが、管理委託料です。
賃貸管理会社に業務を委託するときには、オーナーは業務委託契約を結びます。賃貸管理会社に支払う費用は、管理委託料として経費計上が可能です。1棟マンションのオーナーとして、建物管理会社に業務委託した場合も項目は変わりません。金額としては、賃料の5%ほどになることが一般的です。
一般的な家屋とは違い、不動産投資で所有する物件は収益用の不動産です。収益を得るための不動産では、住宅ローンではなく不動産投資ローンを組みます
不動産投資ローンの金利分は、経費計上が可能です。ただし土地部分に関しては、条件によって経費できる額が異なります。
年末になると、融資を受けた金融機関から返済の明細書が届きます。この明細書から、元本と金利の内訳を確認しましょう。不動産投資ローンを組む際には、手数料がかかります。融資を受けた年の手数料も、経費計上が可能です。
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不動産投資ローンを組む際には、融資を受ける金融機関に物件の抵当権を設定します。購入した物件そのものが、貸し付けの担保です。一般的に、金融機関は担保である物件を守るために火災保険の加入を義務付けます。
この火災保険料は経費計上可能です。10年分を一括で支払うことが通例で、10万円ほどが相場です。
火災保険に加入すると、地震保険にも加入できます。地震保険料に関しても、同様に経費計上が可能です。自然災害による損害を受けて、高額な修繕費が発生することも考えられます。地震保険の加入は任意ですが、リスクヘッジの観点からすれば有用です。
不動産投資においては、さまざまな税金がかかります。固定資産税や都市計画税は、物件を所有するかぎり毎年の支払い義務がある税金です。
固定資産税と都市計画税は、毎年1月1日時点での所有者が納税義務者となり、物件の固定資産税評価額をもとに計算します。どちらの税金も、物件の所在地の自治体に納税する地方税です。不動産取得税は、不動産の所有者になったときに1回だけかかります。
これら3種類の税金を含め、課税文書を発行する際にかかる印紙税(収入印紙の代金)なども経費計上できます。
事業用に購入した建物や設備は、耐用年数がある減価償却資産です。建物の購入価格を耐用年数で割って、毎年同じ金額を「減価償却費」として経費計上します。耐用年数は、木造が22年、鉄骨造(S造)が34年、鉄筋コンクリート造(RC造)が47年です。
1棟マンションや1棟アパートの場合は建物と土地を購入しますが、減価償却資産にあたるのは建物だけです。購入価格から土地の割合を差し引いて、減価償却費を計算しましょう。
建物と土地の割合が5割ずつの、2,200万円の木造アパートを購入したとしましょう。この場合、1,100万円を22年で減価償却します。初年度を含めて、毎年50万円が経費計上する金額です。
経費の計上は確定申告のためにする業務です。確定申告は税理士に業務委託できます。業務委託をした場合の税理士報酬も、経費計上が可能です。
税理士報酬の相場は、年間で10万円ほどです。税理士事務所によって、金額の設定は異なります。費用はかかるものの、わずらわしい確定申告を確実にこなしてもらえるのはメリットです。
不動産投資のために電話やインターネットを使った場合は、その通信費を経費計上できます。通信費として計上できるのは、不動産収入を得るために使った業務上で必要な通信だけです。具体的には、管理会社との連絡や物件のリサーチなどが含まれます。
プライベートと兼用の電話やインターネット回線を使っている場合には、事業で使った割合を計算して経費計上することが必要です。生活費と事業費の区別をつけて、事業費にあたる割合を経費計上することを「家事按分」といいます。
新聞図書費とは、調査や研究を目的として購入する、新聞や書籍の購入費用を指します。不動産業界や経済の動向を探るための図書であれば、新聞図書費として経費計上が可能です。
不動産投資において必要な図書だけが経費計上できる、と考えましょう。業務上で必要な情報収集であることが証明できるなら、新聞や雑誌の定期購読料も新聞図書費に含められます。
ただし、個人の資格取得にかかわる本や雑誌は経費計上できません。賃貸経営に直接関係しない本や雑誌も対象外です。
賃貸経営に直接的にかかわる人との飲食であれば、その費用は接待交際費として経費計上できます。取引先へのお中元も、同じ科目で経費計上が可能です。
具体的には、管理会社や税理士との打ち合わせをするための飲食が経費計上できます。食事の金額の大小は問いません。重要なのは、業務上必要な飲食であったかどうかです。
ひとりで食事をした場合には、打ち合わせの直前であっても接待交際費に含められません。賃貸経営にかかわりのない友人や家族との飲食も対象外です。
確定申告を青色申告で行った場合に、家族従業員を「青色事業専従者」にできる制度があります。事業主が青色申告者であれば、配偶者を青色事業専従者に指定することが可能です。青色事業専従者に支払う給与は経費計上できます。
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経費計上できるものを把握しておくことも重要ですが、経費計上できない項目の理解も大切です。経費計上できないということは、誤って計上してしまうと税務調査が入るリスクがあります。リスクヘッジという意味でも、理解を深めておきましょう。
原状回復のための工事費は修繕費として経費計上できることは前述したとおりですが、リフォームやリノベーションのための工事費用はこれに含めることはできません。
リフォームやリノベーションは、物件や部屋の機能向上のためにする工事です。これらは固定資産と同じく、減価償却する必要があります。
住民税や所得税は経費計上できません。住民税や所得税は、給与所得や不動産所得といった所得金額を合算した総所得金額をもとに計算します。
総所得金額が決まってから住民税額や所得税額が決まってくるため、不動産投資事業の経費としてこれらを含めることはできません。
同居している配偶者や親族に給与を支払っても、必要経費に計上できないことが原則です。青色事業専従者に支払う給与は経費計上できることは上述したとおりですが、青色事業専従者と2人で慰安旅行をしても経費計上できません。
これは家族での旅行にあたり、その費用は家事関連費です。青色事業専従者ではない使用人も含めての慰安旅行であれば、経費計上できるケースもあります。
個人事業主として不動産投資をする場合、福利厚生のひとつと考えてスポーツクラブに入会するかもしれません。入会費や年会費は福利厚生費として経費計上できると思うかもしれませんが、必要経費にはなりません。
青色事業専従者がいる場合も同様です。家族以外の従業員がいない場合には、すべての福利厚生費は経費計上できません。
福利厚生の対象者が家族という単位におさまっている場合には、賃貸経営のために必要な費用とは言えないと考えましょう。福利厚生費を経費計上した場合には、税務調査が入るリスクもあります。
不動産投資にかかわる請求書が年末に届いて、年始に支払いをする場合を考えてみましょう。このケースでは、必要経費の算入時期が問題になってきます。
必要経費に計上する費用は、年内に債務が確定したものです。2019年に債務が確定した費用は、2020年に支払ったとしても2019年の必要経費として計上します。
債務が確定しているかぎりは、費用を支払っていなくても経費計上が必要です。年内に金額が明らかになっている費用であれば、その年の経費として漏れなく経費計上しましょう。
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不動産のオーナーには、事業所得か不動産所得があるため、所得税額を確定させるために確定申告が必要になります。
青色申告の申請をしなければ自動的に白色申告、申請をすれば青色申告で確定申告ができます。青色申告は白色申告より計算や記帳の手間が必要です。しかし青色申告には「青色申告特別控除」などの特典があります。国税庁の公認で節税効果が生まれることが、大きなメリットです。
不動産のオーナーは、事業規模にかかわらず白色申告を選べます。ただし青色申告には条件つきではあるものの税制上のさまざまな特典があるため、メリットが大きいといえるでしょう。
不動産投資において払う必要のない税金を払わないことは大切です。確定申告に慣れてきたら青色申告を検討しても良いかも知れません。
青色申告の大きなメリットのひとつが、青色申告特別控除を受けられることです。青色申告特別控除では、最大で65万円を控除します。満額ではなくとも、控除額は10万円です。
65万円の青色申告特別控除を受けるためには、複数の条件があります。まず、複式簿記で記帳することが必須です。さらに確定申告時には、貸借対照表や損益計算書を添付しなければなりません。これらの条件を満たさない場合には、控除額は10万円です。10万円になったとしても、損をすることはありません。
青色申告の特典には「純損失の繰越しと繰戻し」もあります。「純損失の繰越し」とは、青色申告をした年の確定申告で赤字がでると、翌年以降の3年間にわたって赤字を繰り越せる仕組みです。
「純損失の繰戻し」では、赤字の繰り越しの代わりに、前年分の所得税の還付を受けられます。この制度を利用するには、前年も青色申告をしていることが必要です。
なお純損失とは、損益通算をしてもなお損失があることを指します。給与所得がある人は、損益通算より大きな節税効果を受けることが可能です。
青色申告をすると、「貸倒引当金(かしだおれひきあてきん)」を計上できます。貸倒引当金とは、資金の回収が困難と予想される債権に対して、あらかじめ計上する引当金です。引当金は、損金として計上できます。
不動産投資において、貸し倒れになる債権の代表は賃料です。貸倒引当金を計上しても、実際には貸し倒れにならないこともあります。この場合は、必要経費として計上しておくことで節税効果が生まれる仕組みです。
ただし、翌年には損失にならなかった金額を収入に計上します。節税効果は1年だけですが、会計上の収支のバランスをとる方法のひとつです。
青色申告を利用すると、同居している配偶者や親族に給与を支払えます。給与は必要経費として計上が可能です。青色申告者の事業に従事する家族従業員は、青色事業専従者と呼びます。青色事業専従者に支払う給与が、青色事業専従者給与です。
白色申告にも同様の仕組みがありますが、控除額に違いがあります。白色申告では、配偶者が86万円、親族で50万円が控除額の限度です。青色申告の場合は、給与の全額を控除できます。
家族が不動産投資の業務を助けてくれる場合には、青色申告をするほうが高い節税効果を期待できるでしょう。
青色申告にはさまざまな書類が必要です。まずは、青色申告の申請をするところから始まります。
青色申告の申請は、3月15日までにすることが必要です。事業を始めたばかりの人でれば、開業届を出してから2か月以内に申請します。青色申告の申請では、以下の2種類の書類が必要です。
次に、実際に青色申告を行います。青色申告に必要な書類は、白色申告より多くなります。申請した年の1月1日から12月31日までの収支内訳書を準備しておきましょう。提出期間は、翌年の2月16日から3月15日までと決まっています。提出する書類は以下のとおりです。
青色申告特別控除を受けるのであれば、複式簿記で帳簿を作り、貸借対照表や損益計算書の添付が必要です。
青色申告の提出期間は、2月16日から3月15日です。この期間内に、前項でご紹介した書類を税務署に提出します。オーナーの納税地(住所地)にある税務署が、書類の提出先です。
税務署に行かなくても、国税庁のホームページからe-Tax(国税電子申告・納税システム)を通じてオンラインでも提出できます。e-Taxの利用には、納税地を税務署に「電子申告・納税等開始届書」の提出が必要です。
居所地が他にある人は、納税地を変更できる特例もあります。住所地と居所地の税務署に「所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書」を出しましょう。
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不動産所得は、不動産収入から必要経費を差し引いて計算します。必要経費を正しく計上することは、所得税の払いすぎを避けるための重要な作業です。
どのような項目を経費にできるのかしっかりと頭に入れておきましょう。経費計上できる項目の領収書や取引の記録をすべて保管することが必要です。経費や確定申告についてわからないことがあればトーシンパートナーズにお気軽にお問い合わせください。