※本コラムは2020年2月に作成しています。
マンション経営が節税になると聞いたことがある方の中には、本当かどうか疑っているという方もいるのではないでしょうか。
マンション経営が節税効果を生むには条件があります。どんなマンションを購入しても節税できるというわけではありません。また投資である以上はリスクがあり、節税効果だけに着目すると大きな損失につながります。メリットだけを鵜呑みにせず、デメリットに関する知識を吸収することも必要です。
そこでこの記事では、節税になるケースとその仕組みについてご紹介します。税金と経費の関係を知ることで、マンション経営における節税効果について理解できます。ぜひ参考にしてみてください。
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マンション経営の節税効果を考える際には、所得税と損益通算の関係や相続税と不動産評価額に関する知識が欠かせません。特にサラリーマンが不動産投資をする際には関係の深いトピックです。
ここでは、マンション経営が節税効果を生むための2つの条件をご紹介します。それぞれの注意点にも注目してみてください。
マンション経営で生じる収入のうち、課税対象になるのが「不動産所得」です。不動産所得は「不動産総収入-必要経費」で求められますが、所得税の課税対象は給与所得や事業所得と合算した総所得金額です。
たとえば、給与所得が500万円で不動産所得が200万円だとすると課税対象となる総所得金額は700万円です。一方、給与所得が500万円で不動産所得が100万円の赤字だった場合は課税対象となる総所得金額は400万円になります。
つまり、マンション経営の赤字が所得税額を抑え、節税効果を生むということです。このように複数の所得金額を合算して損益を相殺することを「損益通算」といいます。なお、所得税を払い過ぎていれば確定申告によって還付を受けられます。
資産を相続する際には「相続税」が課せられます。不動産の相続税は「不動産評価額」を元に計算します。不動産評価額は時価の7割ほどです。
つまり、現金と不動産評価額の差額に節税効果が見込めます。たとえば1億円の不動産を購入することで課税対象である不動産評価額が約7,000万円となり、現金で1億円を持っているより相続税が安くなります。
ただし、不動産を所有していると固定資産税が課せられるため、収益を生まない不動産は負の遺産になり得ることに注意しましょう。
ここまではマンション経営が節税効果を生む条件をご紹介しました。続いては、サラリーマンのマンション経営に絞って節税効果が生じる仕組みを見ていきましょう。節税効果を高めるには、経費と減価償却の関係や青色申告特別控除を理解する必要があります。また、損益通算についてもさらに詳しく解説します。
不動産所得は「不動産総収入-必要経費」で求められるため、マンション経営に必要な経費を漏れなく申請することで節税効果が生まれます。必要経費とは不動産収入を得るために必要な費用を指します。経費として申請できるものは、主に以下の通りです。
費用として計上するには、領収書やレシートとマンション経営に必要な出費であることを証明する書類やデータの保管が必要になります。帳票類の保管期間は確定申告から7年と定められています。
また、「減価償却費」とは物件の購入費用を耐用年数で割ったもので、毎年経費として計上します。実際の支出はありませんが帳簿上の利益を減らせるため、節税効果が期待できます。
サラリーマンがマンション経営を行う場合、給与収入と不動産収入を得る形になります。所得税は給与所得と不動産所得を合算した総所得金額に課税されます。
マンション経営には初期費用が多くかかるため、一年目の不動産所得は赤字になるのが一般的です。このとき、損益通算をすれば、給与所得から不動産所得の赤字分が引かれて課税金額が低くなり所得税額も低くなります。
たとえば、不動産所得がなく課税金額が700万円であった場合、所得税額は97万4,000円です。しかし、不動産所得が100万円の赤字だった場合、課税金額は600万円となり所得税額は77万2,500円と20万円以上安くなります。
なお、給与所得と損益通算できるのは不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得に限られます。このため、株式やFXといったマンション経営以外の投資では損益通算はできません。
新築マンションを購入した場合、初期費用が多くなるため、年間の不動産所得が赤字になる可能性が高くなります。さらに、仮に入居者がゼロの状態からスタートした場合は家賃収入が無いため、給与所得から不動産所得の赤字分が大きくなった分、損益通算での節税効果が大きくなります。
ここで、サラリーマンのマンション経営で節税効果が生まれる例を見てみましょう。1戸の運用で家賃が毎月10万円の場合、年間の家賃収入は120万円となります。ローンの利息や減価償却費など、年間の必要経費が120万円を超えれば赤字経営です。この赤字分を給与所得から差し引くため、所得税額が安くなります。
損益通算をして所得税の還付を受けるためには確定申告を行う必要があります。確定申告とは、所得税額を確定して支払うための手続きです。1月1日から12月31日までの1年間の収支を確定申告書にまとめ、翌年2月16日から3月15日の間に税務署に提出します。
通常は白色申告を行いますが、個人事業主として開業届を出しているなら事前に申し込むことで「青色申告」への切り替えが可能です。
青色申告には税法上のさまざまな優遇措置が認められています。特に大きな節税効果が望めるのは、最大で65万円の控除が受けられる「青色申告特別控除」です。65万円の控除を受けるためには、10部屋以上または5棟以上の収益用物件を所有していて事業的規模と認められるといった複数の条件があります。
これにあたらない場合でも10万円の控除が受けられるため、青色申告を検討しても良いかも知れません。
1,000万円の現金を相続する場合は総資産額に1,000万円が計上されるため、節税効果はありません。
それでは、仮に1,000万円のマンションを購入し、「相続税評価額」が700万円とされ、月6万円の黒字が出ているケースを考えてみましょう。この場合、総資産額には700万円が計上されます。現金で1,000万円を持っているよりも遺産額が300万円少なくなり、相続税の節税効果が生まれます。
また、相続人には相続されたマンションの固定資産税の納税義務が生じます。固定資産税の額は700万円に標準税額の1.4%をかけた9万8,000円です。このマンションは月6万円の黒字を出しているので、家賃収入から固定資産税を差し引いても年間62万2,000円の利益を生む遺産を遺せることになります。
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マンション経営で初年度が赤字になり節税効果を生むことは難しくありません。ただし、節税を目的にマンション経営をするのは避けましょう。初期費用を払い終えた翌年以降は経営状況が変わってきます。節税を意識し過ぎてわざと赤字を膨らませるようなことのないよう経営には冷静な判断をする必要があります。
マンションを購入する際には、売却時のリスクを考えることも重要です。マンションを手放さなければならなくなる要因の一つとして空室があります。自分で選んだ物件ですから魅力的な物件に見えるかもしれませんが、実際には入居者視点で「住みたくなる物件」でなければ入居者は集まらないため、家賃の引き下げを考える必要が出てきます。
それでも空室が埋まらない場合、マンションの売却を検討することになるでしょう。ただこのとき、いかに高額物件を購入したとしても入居者にとっては魅力がない物件である以上、家賃は引き下げられたままなので新たに購入する投資家はその価値を低く見積もります。その結果、大きく損をする状態での価格でしか売却できず、売るに売れない状態になる恐れがあります。物件が高額であるほど、マンション経営が難しくなったときに損をするリスクがあります。入居者視点で「住みたくなる物件」を選びリスクを回避しましょう。
マンション経営では、運用の成果を計る基準になる「利回り」は無視できません。主な収益である家賃収入が減れば利回りも落ちていくので、入居率を上げることが成功の鍵になります。
しかし、立地で物件を選んだとしても周辺環境は年々変化します。たとえば大学のキャンパス近くの物件を購入したものの、キャンパスが移転して賃貸需要がなくなる場合もあります。どのような物件を購入しても空室リスクや家賃値下げのリスクはあると考えておきましょう。
また、物件は老朽化します。新築マンションであっても退去後に原状回復するためのリフォームは必要です。自己資金には余裕を持ち、設備投資を積極的に行って物件の魅力を維持することを心がけましょう。
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ここまで見てきたように、マンション経営におけるキャッシュフローは複雑です。要素をひとつ抜いただけでも収益予測の結果が大きく異なる場合があり、またすべて計算通りになるとは限りません。
しかし、不動産投資専門のシミュレーションツールを使えば、収支と経営リスクをシミュレーションすることである程度経営の見通しを立てることもできます。
シミュレーションに必要な情報はツールによって異なります。入力項目の少ないものでは、自己資金やローンの金利といった経済条件と入居率や家賃下落率のような物件情報のみでシミュレーションが可能です。簡単な入力ですぐに結果が得られ、年間収入や支出、さらに売却価格まで確認できるものもあります。
複雑なものになると20以上の項目に条件や情報を入力します。マンション経営では変動要素が多いため、なるべく多くの項目に入力することでリアルなシミュレーションができます。
しかし、あくまでシミュレーションであり、機械的な情報入力で収支やリスクの見込みをつけるという性格のものです。さまざまなネットサービスやアプリがありますが、独自の観点で作られたものが多いという面もあります。結局のところ、信頼できる不動産投資会社に依頼するのが確実ともいえるでしょう。
リスクを想定し不確定要素も含めてシミュレーションすることにより、ある程度の危機は回避可能です。さらに、不動産投資による節税効果についても推定できます。
しかし、すべてがシミュレーション通りになるとは限りません。むしろシミュレーション通りにはならないと考え、そうなったときの対処法をあらかじめ用意しておくことが肝要です。マンション経営を始めるならパートナーとなる不動産会社を探し、分からないことがあればマンション投資・経営のプロである不動産会社に相談しましょう。
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マンション経営には税金や経費、リスクといったさまざまな要素が絡み合っています。また、節税やキャッシュフローの考え方について、マンション経営・投資のプロにアドバイスを受けることが重要です。
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(参考:『株式会社トーシンパートナーズ』)