不動産投資にかかる税金は?
種類や税率について徹底解説

※本コラムは2020年2月に作成しています

不動産投資を始めたいという方の中には、「どのような税金がかかるのかわからない」という方もいるのではないでしょうか。

不動産投資にかかる税金には不動産収入に対して課税される所得税、取得した際に必要な不動産取得税、所有している不動産に課せられる固定資産税といったさまざまな種類がありますが、必要な税金について知っておけば、どの程度の経費がかかるか予測できるというメリットがあります。

そこでこの記事では、不動産投資で課せられる税金の種類や税率、所得税や住民税の算出方法、不動産所得の内訳、不動産投資における節税についてご紹介します。

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    不動産投資で課せられる税金とは?

    不動産投資で物件を取得したときや収入を得たときには税金が発生します。具体的には、不動産取得税や固定資産税、所得税といった税です。また、都市計画税や個人事業税のような課税対象になる人とならない人がいる税金もあります。

    そのため、自分がどの税金を支払わなければならないのか確認が必要です。ここでは、不動産投資で課せられる税金について解説します。

    所得税

    所得に対して課せられる税金を所得税と呼びます。所得税が課せられるものには、給与や所得、預貯金の利子や株の配当金があります。不動産を賃貸して得られる家賃収入は「不動産所得」という区分となり、所得税の課税対象です。

    不動産所得は、家賃収入をはじめとした総収入から不動産経営にかかる必要経費を引いたものを指します。総収入には家賃収入や駐車場代、必要経費には管理費やリフォーム費用といったものが含まれます。

    不動産取得税

    不動産(土地・建物)を売買で取得した際に課税される税金です。そのため、親から相続した場合は対象外になります。不動産取得税は地方税なので都道府県に納税します。

    不動産取得税は「課税標準額(取得した不動産の価格)×税率」で計算します。2019年11月現在は軽減措置実施中のため、2021年3月31日までの税率は3%です。課税標準額は不動産の時価をそのまま適用するのではなく「固定資産税評価額」が適用されるため、取得時の金額の建物については5~6割、土地については7割程度が目安となります。

    登録免許税

    登録免許税は取得した不動産の所有権を登記する際に課税されます。登記には、建物の詳細、所有者の氏名や住所を記載し公開することで権利関係を明確にしたり取引の安全性を保ったりする目的があります。不動産取得後に所有者にまつわるトラブルがあった場合でも、登記をしておけば権利の主張ができます。

    登録免許税の金額は「固定資産税評価額×税率」で計算します。不動産投資の場合の税率は、新築物件が0.15%(所有権の保存登記)、中古物件が0.3%(所有権の移転の登記)です。

    印紙税

    不動産の売買契約書には印紙の貼付が必須です。印紙税額は取引する不動産の価格に応じて変わります。印紙税額は以下の通りです。なお、2020年3月31日までに作成された売買契約書の印紙税には軽減措置が適用されます。

    固定資産税

    固定資産税は、不動産を所有する個人や法人に対してかかる地方税の一種です。所有する建物や土地が固定資産とみなされます。固定資産税は賦課課税方式で、役所側が計算した額が記載された納税通知書を使って市町村に納税します。固定資産税は、その年の1月1日時点で建物や土地を所有している人に対して課せられます。

    固定資産税は「固定資産税評価額×税率―軽減額」で計算します。標準税率は1.4%ですが、市町村によって異なるケースもあります。

    都市計画税

    都市計画税は市区町村の固定資産台帳に登録されている建物や土地の所有者に対して課せられます。都市計画法の市街化区域内にある建物や土地のみが対象で、すべての不動産が課税対象になるわけではありません。都市計画税の課税対象かどうかは、自治体の窓口や不動産会社で確認できます。

    都市計画税は「固定資産税評価額×税率」で計算します。税率の上限は0.3%ですが、エリアにより税率が異なったり軽減措置を設けたりしている市町村もあるので確認が必要です。

    住民税

    住民税は所得割と均等割の二つの区分からなり、都道府県民税と市区町村民税を合わせたものです。所得額に応じて納める住民税の額は変わります。

    不動産投資では損益通算が可能です。たとえば会社から給料をもらっているサラリーマンが不動産投資で、初年度に赤字を出した場合、給与所得と不動産所得が損益通算され、所得額が低くなった結果、翌年度に支払う住民税額が低くなり節税効果を得られることがあります。

    相続税

    不動産を相続した場合、被相続人に相続税がかかることがあります。ただし、課せられるのは相続財産の合計額が基礎控除額を超えた場合のみで、不動産を相続したからといって必ずしも相続税が発生するわけではありません。

    個人の場合、所有する現金を不動産に変えて相続すれば相続税評価額を減らすことが可能です。子どもや配偶者に相続を考えている場合、現金をそのまま相続させるのではなく不動産という形の資産にするほうが節税になることもあります。

    個人事業税

    個人事業税は地方税の一種です。法定業種が対象で、不動産貸付業は第1種事業に該当し、税率は5%になります。そのため個人事業主として不動産投資を行っている場合、個人事業税が発生することがあります。

    個人事業税の額は「(所得額-290万円)×税率」で計算します。事業主控除額が290万円なので、290万円を超過した分に課税されます。複数の不動産を所有し貸し出している個人事業主は、納税が必要になる可能性があることを知っておきましょう。

    消費税

    消費税は、商品やサービスの消費に対して課せられる税金のことです。平成28年度の法改正により、課税金額が1,000万円を超えた場合は消費税納税業者となり、3年間は消費税を納税しなければいけません。

    ただし不動産投資の場合、賃貸物件が居住用か非居住用かによって課税対象になるかどうかが変わります。貸オフィスや貸店舗のような事業を目的とした物件の家賃収入は課税されますが、住むことを目的とした賃貸マンションや賃貸アパートの家賃収入は非課税です。


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      不動産投資にかかる所得税率

      所得税の税率は、所得が多ければ多いほど高い税率が課せられる「累進税率」になっています。以下の表のように、課税対象となる所得金額が増えるごとに、税率が5%から45%までの7段階で高くなります。

      課税対象となる所得金額税率控除額
      195万円以下5%0円
      195万円を超え
      330万円以下
      10%9万7,500円
      330万円を超え
      695万円以下
      20%42万7,500円
      695万円を超え
      900万円以下
      23%63万6,000円
      900万円を超え
      1,800万円以下
      33%153万6,000円
      1,800万円を超え
      4,000万円以下
      40%279万6,000円
      4,000万円超45%479万6,000円

      所得税額は「課税所得金額×税率-控除額」で計算できます。上記の表を参考に、所得税額の計算事例をご紹介します。

      独身の会社員が年間400万円の給与所得のほかに200万円の不動産所得を得て、青色申告で簡易簿記をしていた場合、控除額とかかる税金の目安は以下となります。(社会保険料控除額はその年に支払った社会保険料の全額が対象ですが、ここでは30万円と仮定します)

      このときの所得税率は所得金額の20%、控除額は42万7500円となるため、年間で支払う所得税額は約59万6,500円になります。

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      不動産投資にかかる住民税率

      住民税の税率は、ほとんどの地域で所得金額の10%となります。3,000万円の所得があれば、300万円を住民税として納付します。ただし、以下を控除した上で計算されます。

      また、青色申告をすれば10万円、事業規模とみなされる5棟10室の物件を運営していれば65万円の控除を受けられます。

      課税対象となる不動産所得は?

      不動産経営で得た利益すべてに課税されるわけではありません。課税の対象となる不動産所得は、不動産の総収入から必要経費を引いた額を指します。

      不動産の総収入には毎月の家賃だけでなく、入居の際に支払われる礼金、原則2年ごとの更新料も含まれます。一方、必要経費は管理委託料や修繕費、ローン金利、固定資産税、不動産取得税、減価償却費といったものが対象です。所得税の申告をするときは、必要経費を差し引くのを忘れないようにしましょう。

      会社員は年末調整で納税額が決まるため自分で申告しなくても構いませんが、不動産所得が発生する方は確定申告が必要です。

      不動産収入や経費として扱われるもの

      「不動産収入=毎月の家賃」とイメージする方が多いかもしれませんが、それ以外にも収入に含まれるものは存在します。また、必要経費を引いたものが課税対象となるため、何が経費になるのか知っておく必要があります。ここでは、不動産収入や経費として扱われる項目について解説します。

      不動産収入の対象となるもの

      不動産収入の対象となるものは、主に以下のものがあります。

      こちらは一棟オーナー向けの場合となりますが、所有している物件の屋上に携帯電話のアンテナ基地を設置すると、携帯電話会社といった通信業者から毎月設置料金を受け取れます。また、建物の前に自動販売機を置けば、売り上げの一部をマージンとして受け取る形で収入が得られます。ただし、必ずしも設置できるわけではなくトラブルの原因になる可能性もあるため、設置の際は注意しましょう。

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      不動産の経費となるもの

      不動産投資における経費の対象となるものには、以下のようなものがあります。

      不動産経営では入居者への対応やクレーム処理、共有スペースの清掃といった管理業務が必要です。しかし、本業が別にあったり複数の不動産を所有していたりする場合、管理を一人で行うのは無理があります。そういった際に、管理会社に管理を委託する場合に支払うのが委託料です。

      減価償却費とは、不動産の価値が下がっていくことを前提に目減りした価値の分を経費とみなすものです。実際にお金が減るわけではありませんが、経費として計上できます。

      節税対策のためだけに不動産投資を始めるべきではない

      「不動産投資は節税になる」という考えから、不動産投資に興味を持ったり取り組んでみたいと考えたりする方もいるかもしれません。しかし、不動産投資は不動産を運用することで利益を得るという収入獲得のための手段のひとつで、税金を減らすことを目的としたものではありません。

      また、不動産投資の税金が還付されるのは損失が出ている場合で、利益が出れば税金の支払いが必要です。税制面で得をするために不動産投資をするのは本末転倒であることを理解しましょう。

      サラリーマンの不動産投資における税金対策の効果

      会社勤めをしているサラリーマンが不動産投資で節税効果を生み出す仕組みに、損益通算と青色申告があります。

      不動産所得が赤字であれば給与所得と損益通算ができるため、課税対象額を減らせます。対象額が減れば所得税額が減り、差額が還付されます。このとき、所得に大きく影響するのが「減価償却費」です。減価償却費はあくまで帳簿上の損失で手持ちのお金が減るわけではないので、節税対策に大きく関わってきます。

      また、青色申告で確定申告をするのも節税対策のひとつです。青色申告を利用すると、基準を満たしていれば最大65万円、基準を満たしてなくても10万円の青色申告特別控除が受けられます。この控除は白色申告にはありません。控除額が大きくなれば所得が減るため、節税したい方は青色申告を検討してみてはいかがでしょうか。

      ただし、青色申告は白色申告と比べると記帳に時間がかかります。その手間を考慮に入れてもメリットがあるのかどうか、しっかり確認してから導入することをおすすめします。

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      まとめ

      この記事では、不動産投資にかかる税金についてご紹介しました。必要な税金の種類や額を事前に知っておけば、安心して不動産投資ができます。

      また、控除や損益通算を利用した節税方法についても解説しましたが、あくまでも資産形成が目的であるため、不動産投資による節税はおまけ程度に捉えましょう。

      不動産投資をお考えの方や税金についてもっと知りたい方は、ぜひトーシンパートナーズへご相談ください。