不動産で資産形成をすることやマンション経営に興味があり、固定資産税などの税金の詳細が気になっている方もいるのではないでしょうか。
固定資産税は、不動産投資においては軽視できない支出のひとつです。毎年かかる費用ではありますが、新築マンションでは特例措置を利用して納税額を大幅に抑えられます。
固定資産税とマンションとの関係は知っておいて損はありませんので、固定資産税額の計算方法や特例措置についてご紹介します。
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不動産投資をするうえでは、キャッシュフローをシミュレーションすることが重要です。収支のバランスを想定しておくことは、物件選びから間違いのない選択をすることにつながります。ここでは、毎年の支出項目のひとつである固定資産税とはなにかについて見ていきましょう。
固定資産税とは、土地や建物を所有しているすべての人に納税の義務がある地方税です。不動産投資においては、マンションやアパートといった物件を所有します。この物件というのは、建物だけではなく土地も含む言葉です。
マンション投資では、不動産投資ローンを組んで物件を購入することが一般的ですが、ローンを完済しても、物件を所有しているかぎり毎年課税されるのが固定資産税です。
1棟マンションを所有するのであれば、マンションという建物と、マンションが建っている土地のすべてにかかる固定資産税を支払う必要があります。
区分マンションの場合では、建物については1部屋という単位での所有です。この1部屋は占有しますが、共用部分や土地についてはほかの区分マンションオーナーと分有します。これにより、1部屋にかかる固定資産税と土地にかかる部分的な固定資産税を支払う形になります。
不動産投資における固定資産税は、土地は路線価をもとに課税標準の金額を決め、建物については取得価額をもとにして経年により課税金額が減少していきます。
路線価とは、道路に面する土地の1平米あたりの評価額です。国土交通省が決定した公示価格をもとに、国税庁が鑑定評価価格や実売実例価格を加味して計算します。この路線価を加味して、固定資産税の課税標準額は3年ごとに評価替えを行う仕組みです。
土地の課税標準額は上昇する可能性がありますが、建物に関しては下がっていきます。これは、不動産投資で所有する物件が償却資産であるためです。償却資産には耐用年数があり、経年により資産価値が減少します。これにより、建物部分にかかる固定資産税は評価額の減少にともない安くなっていく仕組みです。
固定資産税の納税義務がある人は、その年の1月1日の時点で物件の所有者になっている人です。この1月1日が1年分の納税義務者や課税要件を確定する日にあたり、賦課期日(ふかきじつ)と呼びます。
3月31日までに市町村(東京23区内なら東京都)の長が土地と建物の価格を決定し、4月末あたりに納税通知書を交付して、納税義務者は第1期の納税をするという流れです。
不動産投資においても物件を購入する場合、物件の所有者が年度内で代わります。しかし固定資産税の納税義務者は、物件の旧所有者です。納税は旧所有者が行いますが、実際に支払う納税額については購入時に日割り計算をして清算するのが通例です。
(参考:『総務省HP|固定資産税制度について』)
固定資産税は、原則として自治体が交付する納税通知書により支払います。納税通知書が届くタイミングは自治体によって異なりますが、おおむね4月から6月の間です。支払いは役所の窓口か、銀行や郵便局といった金融機関で振込により行います。これが一般的な支払い方法です。
最近は支払い方法が多様化しており、コンビニでクレジットカードや電子マネーにより支払いができる自治体も増えています。クレジットカード払いや電子マネー払いでは、ポイント還元が受けられることがメリットです。ただし、注意点もあります。
クレジットカード払いができる固定資産税の税額は、100万円以下です。クレジットカード会社によって金額は異なりますが、決済手数料もかかります。注意点はありますが、現金を用意しなくて済むことはメリットといえるでしょう。
固定資産税は、第1期から第4期までの4回に分割して支払うのが一般的です。納付期限は市町村の条例により定めるシステムであり、自治体によって納付期限は異なります。東京23区の場合は、7月、9月、12月、3月といったタイミングです。納付期限を過ぎると高額な延滞金が発生するため、納税通知書の内容をよく読んで遅れずに納付しましょう。
固定資産税は4回の分割納付が原則ですが、市町村によっては第1期にかぎり一括払いを認めている場合があります。第2期になって残りの一括払いは選択できません。
市町村によっては、前納報償金制度という一括払いの割引特典を設けているケースもあります。ただし、この制度は全国的に廃止傾向です。実施しているかどうかは、自治体のホームページなどで確認しましょう。
固定資産税は、市町村税収の全体に占める割合が非常に大きい税金です。全国平均では市町村税収の約4割を固定資産税から得ており、小規模な自治体になるほどその割合が大きいという傾向があります。
個人にかかる市町村民税よりも大きな税収であり、固定資産税を延滞した場合の自治体側の対応は厳しいことが一般的です。固定資産税の延滞金は年度により変動しますが、納付期限から2か月以内なら年3%ほど、2か月を超えれば年9%ほどです。
延滞金が高額であることにくわえ、督促状が届いた場合の対応にも注意が必要です。督促状が届いてから10日間以内に固定資産税を納付しない場合、役所は強制的に不動産を差し押さえる権利をもっています。
(参考:『国税庁HP|延滞税について』)
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固定資産税とはどういった税金なのかをご紹介しました。建物だけではなく土地にもかかる税金であり、それぞれの計算があることを理解しておくことが重要です。ここからは、固定資産税の計算方法をご紹介します。用語を理解しながら、税金を支払うイメージをつかみましょう。
固定資産税は、公示価格の70%を目安とした固定資産税評価額から課税標準額を求めて、標準税率の1.4%をかけて算出します。土地の固定資産税評価額は3年ごとに評価替えがあり、償却資産である建物部分の評価替えは毎年です。
課税標準額は小規模住宅用地では6分の1になるなどの特例措置と、税負担をゆるやかに上昇させるための負担調整措置を加えて算出します。
計算式は「固定資産税額=物件の課税標準額×1.4%」です。これで算出した固定資産税額から、新築住宅であれば一般住宅で3年間は半額、3階建て以上なら5年間は半額になるという特例措置を受けられます。
一般的には、築年数の古い建物のほうが固定資産税額は低額です。しかし特例措置を受けた結果、新築のほうが固定資産税額が低くなるというケースもあります。
(参考:『総務省HP|固定資産税制度について』 )
固定資産税額を算出するときには、土地や建物の固定資産税評価額が基準です。前項でお伝えしたとおり、土地は3年に1度、建物は毎年評価替えがあります。この固定資産税評価額を登録した帳簿が、固定資産課税台帳です。固定資産課税台帳は、毎年の縦覧期間にかぎり市町村の役所で閲覧できます。
固定資産税評価額は、物件が所在する市町村の長が決定する評価額です。土地については路線価や過去の売買実例から算出して、建物については同じものを作り直したときにかかると予想される価格から妥当な時価を算出します。
この算出方法により、一般的には土地の固定資産税評価額は大きな変動はありません。しかし、建物については建材の物価変動などにより、中古のほうが新築より高いというケースもあります。
ここまでは、固定資産税の内容を固定資産税評価額や課税標準額を踏まえてご紹介しました。固定資産税評価額は、土地で公示価格の70%ほど、建物で購入金額の50%~70%ほどが目安です。
不動産は価格が高いため、標準税率が1.4%とはいっても税額が少額ではないことに注意しましょう。さまざまな特例措置がある固定資産税ですが、新築マンションでは特に大きな節税効果が望めます。ここでは、新築マンションだけに適用する特例措置について見ていきましょう。
法令の有効期間の定めがないものを恒久法というのに対し、有効期間の定めがある法令を時限立法(時限法・限時法)といいます。時限立法が定める特例措置により、令和2年3月31日までに新築した住宅は、一定の期間内は固定資産税額が半額です。
税額の軽減期間は、3階以上の建物で5年間、それ以外の建物で3年間です。マンション経営の場合においても、新築マンションを購入して最長5年間の税額が半額です。
新築では固定資産税評価額の評価替えが行われていないため、一般的には固定資産税額は中古マンションより高くなります。しかしこの特例措置を活用することによって、魅力ある物件を低いコストで運用していくことが可能です。
(参考:『総務省HP|固定資産税制度について』)
5年間も税額が半額になるというのは、新築マンションを購入する人にとっては見逃せない特例措置であると言えるでしょう。この特例措置を受けるには、いくつかの条件があります。
まずは、前項でお伝えしたとおり3階建て以上であることです。これは新築マンションでは容易にクリアできる条件です。
次に、建物が準耐火構造か耐火構造であることです。これも、現代の建築基準から考えれば該当する物件は多いでしょう。令和2年3月31日までに建築した物件であることも、条件のひとつです。
ただし、特例措置が受けられるのは、1戸あたりの居住部分にかかる床面積が120平米までです。購入時点からではなく、新築した時点から5年間の特例措置という点にも注意しましょう。
新築マンションが長期優良住宅の認定通知書を取得した場合には、固定資産税の特例措置が新築から7年間に延長します。長期優良住宅として認定を得るための条件は、以下のとおりです。
購入した時点での物件の性質が条件ということがわかります。なかにはこのような物件もありますが、物件数は少数です。興味があれば不動産会社に尋ねてみるのもよいでしょう。
長期優良認定住宅として特例措置を受けるには、いくつかの条件があります。まずは長期優良住宅としての認定通知書を取得することが必須です。認定の申請は物件の着工前に行われるため、物件の購入時点で認定を受けているかどうかは決定しています。
5年間の特例措置を受ける場合と同じく、令和2年3月31日までに新築したことと、1戸あたりの居住部分にかかる床面積が120平米までということも条件です。これらに加え、特例措置が7年になるためには、床面積が50平米以上で280平米以下であることも条件です。
準耐火構造や耐火構造であるかどうかは、長期優良住宅であるかどうかという基準に置き換わっていると考えてよいでしょう。
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収益用不動産を所有するかぎりは、毎年の固定資産税がかかることを意識しておきましょう。中古物件なら安く済むように思えても、特例措置が受けられる新築マンションのほうが結果的に得をすることもあります。
固定資産税は大きな金額ではないにせよ、シミュレーションに組み込んで計画を立てていくことが重要です。固定資産税の特例措置が受けられる物件は、耐火構造や長期的な居住に適した措置がとられていたりして、入居者にとっての魅力が高いというメリットもあります。
収益用不動産の購入を検討しているなら、魅力が高く税金も抑えることができる新築マンションを選択肢に入れてみてください。