商品を購入したり給与所得を得たり、金銭を受け取る際には国が定めた税金を支払わなければなりません。適切な手続きを行えば節税ができるものの、どのような方法があるのかわからず悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、個人でも実践できる節税対策を10パターンに分けて徹底解説します。取り組みやすい方法を選ぶことにより、節税を効果的に行えるでしょう。後半では個人事業主に適した4つの節税対策もご紹介します。
節税対策とは、租税に関する法令に規定されたルールの範囲内で、税金の支払いを少なくするための対策をいいます。節税対策は、支払わなくても済むはずの税金の負担を避けるために行うものです。
基本的に税務署が節税対策を教えてくれることはありません。個人事業主や会社員ができるだけ手元にお金を残すには、税に関する正しい知識を持って、節税対策に取り組む必要があります。
節税対策として実践できる方法は、個人年金やふるさと納税を利用するだけでなく、控除を上手に活用するなどさまざまです。それぞれの特徴や仕組みを理解して、自分が始めやすい節税対策を選択しましょう。10パターンの方法を項目に分けて詳しく解説します。
個人年金と生命保険は、それぞれ生命保険料控除の枠を利用して所得控除が受けられます。不動産投資は、不動産の減価償却を利用することで不動産所得を減少させ、節税につながる方法です。また、相続税対策としても活用できます。iDecoとNISAは混同されることがありますが、給与所得や事業所得の節税になるのはiDeCoの方です。一方、NISAは運用益が非課税になる制度です。ふるさと納税を活用すると、自己負担2,000円で各地の自治体から返礼品を受け取ることができます両親を扶養に入れると、所得税・住民税の節税にはつながりますが、両親の医療費や介護サービス利用料の負担が増える可能性がある点に注意が必要です。医療費控除の適用を受けられる場合は、セルフメディケーション税制といずれかの選択となります。マイホームを購入した際には、住宅ローン控除の適用対象になる場合は、所得税などの負担を大幅に減らせます。仕事関連の支出が多い場合は、特定支出控除を活用できる可能性があります。
個人年金は国が定める国民年金保険制度とは別で、任意の年金保険に加入する方法です。複数の種類に細分化すると、以下のような個人年金が選択できます。
加入する年金保険の種類によって異なるのは、「被保険者の生存期間中にどのくらいの年金を受け取れるか」という点です。
個人年金を利用すると、生命保険料控除の「新個人年金保険料控除」の区分の適用を受けられます。課税対象の所得金額や住民税から差し引くかたちになるため、会社員の節税対策にも有効です。適用には以下の条件がある点も把握しておきましょう。
●メリット
●デメリット
【個人年金がおすすめな人】
個人年金は、節税と老後資金の準備を兼ねたい人に向いています。ただし、全額掛金が所得控除できるiDeCoの方が節税対策としては有利です。したがって、プロに運用を任せたい人に向いています。
生命保険に加入する選択肢も、課税対象の所得税や住民税を抑える方法のひとつです。生命保険料控除の「新生命保険料控除」の区分で適用を受けられます。
控除可能な金額には上限が設けられているため、「保険料が高額なほどお得になる」というものではありません。
場合によっては出費が増幅する可能性もあります。生命保険料控除で節税対策を行う場合は、月間・年間でどのくらい節約できるのかシミュレーションできると安心です。生命保険の加入プランも細かく確認しながら決断しましょう。
また、2012年1月1日前後の加入時期では取り扱いや条件も異なります。これから加入する場合は新制度のルールが適用されるため、控除制度が活用できるかを考慮しながら決めましょう。
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●メリット
●デメリット
【生命保険がおすすめな人】
扶養する家族がいる人は、多くの資産を持っている場合を除き、生命保険に加入し、万が一に備えておく必要性が高いです。また、生命保険の保険金には相続税の非課税限度額が設けられているため、相続税対策を考えている人にもおすすめです。
投資方法のひとつとしても知られる不動産投資は、個人や会社員の節税対策に有効な方法です。一例ですが、以下の項目を申告することで税務上赤字になると、給与所得や事業所得との損益通算により、節税が可能です。
課税所得のみならず、取得時に税金が抑えられる点もメリットといえるでしょう。法定耐用年数を迎えるまでの期間であれば、減価償却費を反映することでさらなる節税効果が期待できます。国で定められている減価償却費は、建物の構造と用途によって区分される仕組みです。
また、大規模な投資において法人化した場合、法人税適用による節税効果が得られる点も認識しておきましょう。資産形成を実現するだけではなく、継続的に税金を節約しやすい選択肢です。
●メリット
●デメリット
【不動産投資がおすすめな人】
不動産投資による節税は課税所得が900万円を超える人に向いているのは、所得税は超過累進税率が適用されているため、課税所得900万円を超える人は節税効果が高いためです。また、ローンが組みやすいほか、不動産投資にはランニングコストがかかり、大規模修繕工事の費用なども負担できる財力があることも理由に挙げられます。
また、資産を現金よりも、不動産として持つ方が相続税評価額を抑えられることから、相続税対策を兼ねたい人にも向いています。
個人年金保険とは異なり、証券会社にお金を預けて運用するのがiDeCo(個人型確定拠出年金)です。証券会社が設定した限度額内で積み立てを行い、自分で運用しながら貯蓄額を増やしていきます。
対象となる控除制度は「小規模企業共済等掛金控除」です。個人事業主や会社員・公務員、専業主婦(夫)などの加入区分に応じて掛金の限度額が決められ、全額所得控除を受けられます。年金を受け取る際にも、受け取った金額に対しても控除が適用される仕組みです。
●メリット
●デメリット
【iDeCoがおすすめな人】
iDeCoは原則として60歳までは資金を引き出すことができないため、貯めたお金を途中で引き出して、マイホーム資金や教育資金などに充てるといったことができません。資金にゆとりがあり、老後資金を形成したい人に向いています。
主に個人投資家の節税対策に活用できる手段として、2014年1月に「NISA」が開始されました。専用のNISA口座を開設し、預けたお金を運用します。通常であれば利益に対して所得税がかかりますが、NISA口座内の一定額までであれば非課税対象になる仕組みです。
非課税対象の金額と期間を明確にしたうえで運用できると、税金を抑えながら満足な売買取引を続けられるでしょう。ただし、購入可能な金融商品に条件がある点も理解しなければなりません。
投資に不安を感じる方には、少額からスタートできる「つみたて投資枠」の活用がおすすめです。理想どおりに運用できれば、資産を増やしながら節税対策も実現できます。
●メリット
●デメリット
【NISAがおすすめな人】
NISAはiDeCoと異なり、運用益に対する税金が非課税になる制度です。いつでも、金融商品を売却して資金を引き出せるため、運用したお金を様々な用途に活用できます。
近年注目される機会が多い「ふるさと納税」も、税金の節約につながる方法です。支払ったお金は「寄付」として扱われ、2,000円以上の部分が控除の対象となります。所得税・住民税を控除することで節税効果が得られる仕組みです。
入手が難しい特産物や工芸品など、返礼品を受け取れる点はふるさと納税ならではの魅力です。返礼品の内容を基準に選択できるため、節税効果とは別の要素でもお得感を得られるでしょう。控除対象の上限は所得や家族構成などによって変わります。
●メリット
●デメリット
【ふるさと納税がおすすめな人】
ふるさと納税では、自治体ごとにさまざまな返礼品が用意されているため、実質2,000円の負担で各地の返礼品を楽しみたい人に向いています。また、応援したい自治体がある人は、本来の趣旨に沿った形で制度を活用できます。
年間所得金額が一定以下の親族がいる場合、扶養に入れることで税金の控除適用が可能です。同居している方だけではなく、仕送りを行っている場合も対象となります。控除額は親族の年齢によって異なるため、以下を参考に該当する金額を把握しておきましょう。
参考:『国税庁 扶養控除』
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●メリット
●デメリット
【両親を扶養家族にする方法がおすすめな人】
両親を扶養家族にできるのは、両親の収入が一定以下のケースです。ただし、両親の医療費や介護サービス利用料の負担の増加が、扶養に入れたことによる節税効果を上回るケースもあるため、シミュレーションをしてみることが大切です。
1月1日~12月31日に支払った医療費が高額な場合、医療費控除を適用することで節税効果が得られます。加入している保険から支給された金額も反映する必要があるため、以下の計算式を参考に控除額を算出しましょう。
控除される金額の上限は200万円です。ただし、1年間の総所得金額が200万円を下回る場合は、所得に対して5%の金額が適用されます。美容目的の医療は控除対象外となるため注意が必要です。
自身や配偶者だけではなく、医療費を支払った生計を一にする親族がいる場合はすべて対象になります。控除を受けるには確定申告が必要となるため、医療費を明確にしたうえで手続きの準備を始めましょう。
●メリット
●デメリット
【医療費控除がおすすめな人】
自分や家族が高額な医療費を負担している場合、確定申告で医療費控除の適用を受けることをおすすめします。ただし、セルフメディケーション税制の方が有利なケースもあるため、双方を比較計算したうえで、いずれかを選ぶことが重要です。
ローン契約で住宅を購入した場合は「住宅借入金等特別控除」が適用されます。新築物件の購入だけではなく、増改築も控除の対象です。適用条件が設けられているため、あてはまるかどうかチェックしておきましょう。
<主な新築住宅の適用要件>
2024年以降の入居は、新築住宅は省エネ基準に適合していなければ、適用を受けられません。(例外あり)
1年間の所得が合計3,000万円を上回る場合は控除を受けられません。10年以上のローン契約も条件にあげられるため、すでに支払いを開始している方は契約内容を確認してみましょう。マイホームを手に入れたあとの負担を軽減できる方法です。
参考:『国税庁 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)』
●メリット
●デメリット
【住宅ローン控除がおすすめな人】
住宅ローン控除は、所得税などの負担が大幅に軽減されるため、適用の対象となる場合は、制度の利用がおすすめです。
給与所得の控除額を基準とし、半額以上の特定支出があった場合に「特定支出控除」が適用されます(2020年4月21日現在)。
原則的に、仕事において必要な経費が該当すると考えましょう。基準となる控除額は給与所得の金額によって変動します。基準に反映する年によって条件が異なる可能性があるため、申請する前にリサーチできると安心です。仕事関係の出費が負担に感じている方は、金額を計算して適用の可否を確かめましょう。
●メリット
●デメリット
【特定支出控除がおすすめな人】
ここに挙げたように、特定支出控除に該当する多額の費用を自己負担している人は、会社の証明を得られれば、確定申告で特定支出控除の適用を受けられるためおすすめです。
個人事業主として生計を立てている方は、青色申告を行ったり特例の控除制度を利用したりすることで節税効果が期待できます。現在会社に属していない方は、税金による経済的負担を軽減するためにも実践してみましょう。4つの対策方法をご紹介します。
1月1日~12月31日の間に行った取引の内容は、確定申告の書類に記入して税金を申告しなければなりません。大きく分けると青色申告・白色申告の2種類がありますが、節税効果を高めるのであれば青色申告がおすすめです。
●メリット
●デメリット
1年間に費やしている経費や控除の内容を明確にすることで、節税可能な部分を発見するきっかけになるかもしれません。仕事関係の移動や食事は経費の対象として計上できるため、以下のような項目に漏れがないかチェックしてみましょう。
自宅で行った業務が報酬として支払われている場合は、通信費や家賃なども経費に含まれます。ただし、プライベートと仕事の割合を算出する必要があります。1年間の作業時間を計算し、仕事に計上できる部分のみ経費として扱いましょう。
●メリット
●デメリット
仕事に利用する事務所や家電製品などの固定資産は、減価償却の特例(少額減価償却)を反映することで節税対策に活用できます。通常減価償却のルールを反映しますが、一定の条件を満たすことで適用される仕組みです。以下のいずれかに該当する場合に利用できます。
計上の基準が商品単体でない点に注意しなければなりません。例えば、テーブルセットを購入した場合はテーブル・椅子の合計金額を基準にします。所得が高額な年度に特例を活用することで、課税額を減らして節約が可能です。固定資産を購入する機会が多い方は、金額を確認しながら制度を有効活用しましょう。
個人の事業が拡大して多額の収益を得ている場合は、法人化の手続きを行うのもひとつの方法です。法人税は法人の種類や所得金額によって区分されており、「所得が高額なほど税率が上がる」というものではありません。一般的な普通法人を例にあげると、2020年4月現在定められている税率は以下のとおりです。
上記の税率を適用したとき、個人の所得税よりも軽減できる場合は法人化を決断してもよいでしょう。具体的な目安は事業の規模や従業員数などによって異なるため、不安な方は税理士に相談できると安心です。
参考:『国税庁 法人税の税率』
●メリット
●デメリット
税金を節約するためには、自身の生活状況や収入などを把握したうえで選択しなければなりません。保険や投資など、お金を費やす方法はリスクもあるため入念なリサーチが重要です。
節税だけではなく資産運用も望んでいる方には、比較的リスクを抑えやすい不動産投資が向いているでしょう。
空室や自然災害のリスクをともないますが、長期的な運用を前提に始めると収益化につなげやすい方法です。魅力的な物件を選ぶには不動産会社選びも重要な要素となるため、信頼性の高い会社を探して節税の効果を実現しましょう。
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<監修者プロフィール>
小菅 信也
株式会社トーシンパートナーズ 執行役員
1994年に株式会社トーシンパートナーズ新卒一期生として入社。投資用不動産の営業に従事。
2006年より営業企画課長、2015年に営業企画部長として、営業スタッフに関わる業務全般およびマーケティング施策の責任者として従事。
2021年にはマーケティング部門を立ち上げ、マーケティング部長も兼務。
2023年より上記全部門の担当役員となる。