資産運用にはさまざまな方法がありますが、選択肢のひとつに「不動産投資」があります。スタート時の投資金額が大きいというイメージを持ち、デメリットを懸念している方もいるのではないでしょうか。しかし、うまく運用できれば将来に向けた資産形成が十分可能です。
そこでこの記事では、不動産投資の基本的な仕組みから懸念されるリスクまでを紹介します。良い部分と悪い部分を把握しておくと、実践の際にも役立てられるでしょう。成功に導くコツもピックアップしています。
固定資産を活用し、長期的な運用によって資産形成につなげる方法が「不動産投資」です。まずは不動産投資の基本的な仕組みを理解しておきましょう。不動産投資では家賃収入によるインカムゲインと売却によるキャピタルゲインを得られます。以下ではそれぞれの運用方法を詳しく解説します。
不動産投資では、マンションやアパートなどの賃貸物件を購入するケースが一般的です。中には戸建て住宅を選ぶ方も見られますが、「月々の家賃収入を得る」という仕組みは同様と考えましょう。
投資物件の購入にあたっては多くの場合、ローンが活用されます。一般的に不動産物件は高額ですが、毎月のローンの支払いに家賃収入を充当できるため生活を圧迫することなく資産形成が可能です。長い時間をかけながら他人資本を自分の資産に変換していくことが不動産投資の特徴といえます。
不動産投資を長年続けた後、最終段階で収益化を見込めるのが「売却」です。劣化などで家賃収入を得られない状況でも、建物や土地としての価値があれば利益を得られます。特に利益を実感しやすいのが「安く購入し、高く売却する」という方法です。
ただし、安く購入したものが必ず高く売却できるとは限りません。物件価格は景気に左右されますし、賃貸物件であれば家賃収入を稼ぐことができることが前提となります。買い手となる投資家にとって家賃収入を得られる見込みのない物件はどんなに立派な建物でも投資する価値はありません。売却を前提に購入をする際は次の買い手がつきやすい物件を見極める意識が大切です。
不動産投資は「大金がなければ始められない」と考える方もいますが、ローンで購入する選択肢もあります。定期的な収入があり、節税につなげやすい点も魅力的です。生命保険効果は、不動産投資ならではの特性といえるでしょう。不動産投資で得られるメリットを、4つの観点からご紹介します。
不動産物件は一般的に高額な商品ですが、多くの場合、ローンを活用して購入できます。購入物件を担保にすることで金融機関から借り入れを起こせるのは不動産投資ならではの特徴のひとつです。
一般的なローン契約と同様、金利や審査に関する規定は金融機関や商品によって異なり、収入状況も影響するため、どのようなプランが良いのか不動産会社に相談しながら計画を立てると安心です。
マイホームの購入と大きく異なるのは、住人から家賃収入を得られる点でしょう。オーナーはあらかじめ設定した家賃を毎月収入として受け取れます。
自宅であればローンの返済はすべて自己資金から捻出する必要がありますが、賃貸に出していれば家賃収入をローンの返済に充当できるため、購入費用を大幅に抑えることが可能です。ただし空室によって家賃収入が得られない場合は持ち出しが発生するため、需要の高いエリアや建物の種類を見極め、リスクを回避する努力も必要です。
不動産を所有し続ける上で発生する税金も、賃貸用であれば節約につながります。実際に節税可能な項目は以下の3種類です。
確定申告の際に不動産所得が赤字であれば他の所得と損益通算をして所得税と住民税を軽減できる場合があります。所有している物件の法定耐用年数は建物の種類や用途によって異なるため、減価償却のルールについて知っておいて損はありません。また相続税に関しにては発生すると家族への負担になる可能性もあるため、財産の金額が大きいほど有益といえるでしょう。このような税金関係の知識もリサーチできると安心です。
投資用の不動産を金融機関から融資を受けて購入するとき、多くの場合「団体信用生命保険(団信)」と呼ばれる保険に加入します。不動産そのものを生命保険として活用するイメージです。万が一ローンの返済途中で亡くなった場合、保険適用により残債が免除されます。
家族が残債分を支払う必要性に迫られないため、投資家とその家族の安心感を高めるメリットともいえるでしょう。保険適用後の不動産は、所有権を引き継いだ方の意思で所有を継続するかを決定できます。所有し続けて賃貸に出せば所有する限り家賃収入を受け取れます。一方ですでに無借金のため、売却すればまとまった現金に換えることもできるので通常の生命保険よりも選択肢が広いともいえます。
株式投資・投資信託といった手法と同様に、不動産投資にもリスクがある点には注意が必要です。安易に決断すると、想像以上の損失を生んで後悔を招くかもしれません。自然災害の影響が大きい点も把握しておきましょう。ここからは、事前に認識しておきたいデメリットを4つご紹介します。
一般的に不動産投資は家賃収入を得ることを目的に行います。物件をローンで購入している場合は家賃収入が毎月の返済原資になるため、家賃を得られなければ自己資金から返済していくしかありません。立地条件が悪かったり人口が少なかったりすると、思うように住人が見つからない可能性もあります。空室が長期化するほど損失は膨らんでしまうので、空室が発生する理由を把握し、リスクを避ける意識を持ちましょう。
このようなポイントを認識しておくと、リスクを回避しやすい物件を見つけるのに役立つでしょう。
建物は、築年数が長くなるほど劣化が目立ちやすくなります。新築物件への入居が好まれるように、築後10年、20年と経過すると需要が下がる傾向にある点もデメリットのひとつです。木造やコンクリート造など、素材に問わず懸念される要素と考えましょう。
老朽化が進むと、建物の状態に合わせて家賃を下げるケースもあります。リフォームを行う場合は資金が必要になるため、一時的な負担を増幅させるかもしれません。このようなリスクを避けるには、適切な管理がなされている物件を見極め、管理体制が充実した管理会社に委託することが重要です。
金融機関からの融資で購入費用を賄う場合、返済と併せて契約内容に沿った金利を支払う必要があります。このとき注意したいのが金利は「固定金利なのか、変動金利なのか」という点です。変動金利のローン商品を選択すると、予想以上に金利が上下するかもしれません。
変動金利は一般的に固定金利よりも金利が低いため、不動産投資で融資を受ける場合は選ばれるケースが多いですが、下がる可能性があれば上がる可能性もあるため、かえって損な結果を招くリスクも認識しておきましょう。返済期間が長期にわたるほど懸念される要素ともいえます。
不動産投資において予測しづらいのが、地震や津波などの自然災害です。建物の一部分が消失したり、全体が崩壊したりする可能性もあります。修復や再建にかかる費用の負担を軽減するためには、損害保険への加入が有益です。
ただし、保険料の支払いと万が一の出費2つの視点からプランを見極める必要があります。保険料が高すぎると生活を圧迫するかもしれません。自然災害への備えは重要ですが、日々の出費も考慮して選択しましょう。
資金を投資して利益につなげる資産運用として「株式投資」も選択できます。不動産投資とは取り組みの内容が異なるものの、資産を形成するための目的は同様です。投資方法は複数あるため、広く知られている株式投資についても理解しておきましょう。メリット・デメリットに加えて、不動産投資との具体的な相違点を解説します。
多額の資金を要する不動産投資に対し、比較的出費を抑えやすい点が株式投資のメリットです。具体的には以下のような魅力が挙げられます。
日本だけでも数多くの株式会社が上場しているため、さまざまな銘柄から好みの株式へ投資が可能です。経験者が発信する情報量も多く、投資活動の学びを深めやすい点も魅力的な要素といえるでしょう。
配当金・株主優待といった仕組みは、株式投資ならではの特徴です。お金を増やすだけでなく、サービスや商品をお得に利用するきっかけにもつながります。
投資の中でもポピュラーな方法である一方、「初心者には向かない」といわれている点にも理解が必要です。価格変動や売買差益を予測するためには、トレードに関する専門的な知識を要します。以下のデメリットを押さえておきましょう。
「好きな会社だから」「優待を受けたいから」といった理由のみで始めた場合、想像以上の損失を生む可能性もあります。株式を購入するのは簡単ですが、その後の運用が困難に感じるかもしれないことを理解しておきましょう。ハイリターンな投資方法でもあるため、運用に慣れた上級者が挑戦する選択肢だと考えると良いでしょう。
2種類の投資方法はいずれもリスクを伴いますが、リスクの高さや運用期間に違いがあります。以下の表を参考に、自分に適したほうを選択しましょう。
不動産投資 | 株式投資 | |
---|---|---|
リスク | ミドルリスク(やや高い) | ハイリスク(高い) |
運用期間 | 数十年単位の長期 | 運用方法で異なる |
専門知識 | なくても始めやすい | 必要 |
運用 | 価格変動の監視は不要 | 価格変動の監視が必要 |
支払金額は高額なものの、ローンを利用するとデメリットを回避しやすいのが不動産投資の魅力です。税金など、ある程度の知識はあった方が安心ですが、運用しながら学んでいくと効率的に進められるでしょう。不動産投資は、株式投資に比べて初心者に向いた方法といえます。損失リスクを抑えながら、着実に運用を続けたい方にもおすすめです。
不動産投資は初めて資産運用に挑戦する方だけでなく、経済的な対策を目的とする方にも適しています。物価が変動してインフレの状況が続いた場合、実物資産である不動産は相対的に価値が上がるため、メリットを感じやすいでしょう。また数十年の運用を前提に、老後の生活費として計画を立てるのもおすすめです。不動産投資がどのような方に向いているのか、3つの観点からご紹介します。
長期的な景気の状況に注目したとき、経済面で懸念されるのが「インフレ(インフレーション)」です。物価が上昇すると、保有している現金の価値が減ってしまい生活を圧迫させるかもしれません。このような場合、不動産を売却することで利益を得られる可能性があります。
売却の他、物価が上がっていれば家賃の設定金額を上げて月々の収入を多くすることもできるかもしれません。現金を不動産に換えて運用することになるため、「経済状況の変化に対応しやすい環境を整えたい」という方に向いています。
固定資産に対して発生する税金を節約できる点は、節税対策として有益なメリットです。本来であれば全額負担になる税金も、確定申告の際に固定資産税・不動産取得税として計上することができるため、本来払わなければいけない納税額よりも支払いが少なくなり、節税することができます。
「国から支給される年金のみでは老後資金を賄えない」といわれる昨今、将来の生活に不安を感じる方もいるでしょう。別途、私的年金を活用する方法もありますが、不動産も有益な選択肢のひとつです。
ローンを完済すれば家賃収入を毎月の返済に充てる必要がなくなるため、物件を貸し続ける限り家賃が公的年金以外の収入源となります。もしまとまった資金を必要とするならば売却することもでき、将来の経済状況や老後の生活状況に合わせて意思決定することが可能です。少しでも安心な将来を実現するために選択肢が増えるのならば、不動産投資は有益な方法といえるでしょう。
初心者でも比較的始めやすい不動産投資ですが、学びを深めておくと効率的な収益化が期待できます。数十年先までの中長期運用を前提とし、時間をかけて少しずつ資産を築いていきましょう。リスクを理解し、損な結果を回避するための対策も重要です。これからの不動産投資に役立つポイントを3つご紹介します。
不動産投資を成功させるために学んでおきたいのは、経済に関する知識です。インフレ・デフレや日本における経済の現状など、動きを理解できると運用も有利になります。不動産そのものの価値は、物価や景気対策によって左右するためです。
極端に専門的な勉強を始めると、かえってストレスを増幅させるかもしれません。まずは新聞やニュースで近況をチェックし、不動産に与える影響を考えてみると良いでしょう。
不動産投資の特性上、1年や2年で売買を繰り返すといった短期で運用するケースはほとんど見られません。数十年かけて着実に運用する方法が前提となっているためです。目先の数字だけに捕らわれることなく、将来的に資産形成が出来るかを見極めてスタートを切りしましょう。
長期運用は、投資において有利に働きやすい特性を持っています。価格変動に一喜一憂する必要もないため、精神的なストレスを軽減できる点もメリットです。魅力を最大限に引き出せるよう、長期運用を意識しましょう。
投資先を選ぶ際に重要なポイントは、「どのようにリスクを回避できるか」です。収益化が見込める優良物件でも、シミュレーション通りに進むと考えるのは賢明といえません。懸念されるリスクをピックアップし、ひとつずつ対策を考えながら実践に移しましょう。
リスク対策を怠ったまま運用し続けた場合、万が一の事態に対応できなくなる可能性があります。不動産会社とも相談しながら、「どのようなリスクがあるのか」「回避するためには何が必要か」といった計画を立てる過程が大切です。
資産形成に効果が期待できる不動産投資ですが、投資経験がない方は不安に感じることもあるでしょう。現在悩んでいる方や、検討を始めている方はトーシンパートナーズにご相談ください。不動産投資のメリットやシミュレーションを提示するだけでなく、リスクをどのように回避していくのかも併せてご提案し、安心して運用が続けられるよう支援していきます。
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不動産投資は、資産運用の中でも「ハードルが高い」と考えられがちな投資です。ある程度の知識は蓄えた方が安心できますが、投資初心者でも挑戦できる選択肢といえるでしょう。十分なリスク対策を行うことで、無駄な損失を回避することもできます。
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