マンション経営を行ううえで欠かせない「減価償却」という仕組みをご存じでしょうか。減価償却は、固定資産を財務省が定めた使用可能期間に応じて、費用を少しずつ分割して計上できる仕組みのことです。この記事では、マンション経営における減価償却、マンションの法定耐用年数、減価償却を行うメリット、減価償却の計算方法、マンション経営における減価償却に関するよくある疑問など、マンション経営に役立つ情報をご紹介します。
ここでは、マンション経営における減価償却について理解するために、減価償却の概要、減価償却の対象となる費用、計算方法の種類について解説します。
減価償却とは、固定資産を使用可能期間に応じて、費用を少しずつ分割して計上することです。減価償却は、毎年の利益を正確にすることを目的として行います。例えば、2020年に500万円の機械装置を購入したとしましょう。その費用を一括で計上してしまうと、2020年がいきなり赤字になってしまう可能性があります。実際の損失による赤字ではなく、必要経費によるものなので、これは正しい財務状態とはいえません。しかし、減価償却を行うことによって、2020年は50万円、2021年に50万円、2022年に50万円・・・というように、資産を使用できる期間で分割して計上すれば、費用と収益の矛盾を防ぐことができます。
減価償却において覚えておきたい用語は以下のとおりです。
減価償却できる資産は、業務で使用する資産かつ時間が経過するにつれて劣化する資産です。減価償却できる有形固定資産は、建物・構築物・機械装置・車両などがあります。一方、無形固定資産は、ソフトウェア・特許権・商標権・意匠権などです。土地・借地権・電話加入権・書画や骨董・活動休止中の資産などは減価償却できない資産のため、注意しましょう。
マンション経営において減価償却の対象となる費用は、マンションの建物部分や設備部分などです。前述のとおり、土地は劣化しないため、減価償却の対象にはなりません。したがって、減価償却を行う際は、建物の取得価額を調べる必要があります。
最も簡単な調べ方は、マンション購入時の売買契約書に記載されている建物の価格を確認することです。明記されていれば、そのまま取得価額として減価償却費の計算に用いることができます。万が一、建物の価格が明記されていなくても、固定資産税評価額を用いて計算すれば問題ありません。
固定資産税評価額とは、固定資産税を決める際の基準となる評価額のことで、各自治体が個別に決定します。この評価額を基に、不動産価格から建物の取得価格を求めましょう。
計算式は、以下のとおりです。
建物の取得価額=不動産の売買価格×(建物の固定資産税評価額÷不動産の固定資産税評価額)
例えば、マンションの売買価格が6,000万円で、不動産の固定資産税評価額が5,000万円、建物の固定資産税評価額が4,000万円だったとします。この場合の建物の取得価格は、4,800万円(6,000万円×4,000万円÷5,000万円)です。
後ほど、建物部分の価額が分からない場合の対処法について簡単にまとめています。
「定率法」と「定額法」はいずれも減価償却に用いる計算方法です。定率法は減価償却を法定耐用年数の期間「毎年一定率」で、定額法は法定耐用年数の期間「毎年均等額」で計算します。すなわち、定率法は償却初年度に償却金額が最も大きな金額となり、その後は年度が経過するごとに減少していき、定額法は毎年同じ額の減価償却処理をする、というのが2つの計算方法の違いとなります。
注意したいのは、2016年4月1日以降に取得したアパートやマンションなどの建物は、原則として、定額法のみ適用されるということです。したがって、マンション経営の減価償却を計算する際は定額法を用います。定額法の計算式は以下のとおりです。
取得価額×定額法の償却率
ここでは、マンションの法定耐用年数と法定耐用年数を超えた場合のリスクについて解説します。
マンションの法定耐用年数は、構造によって異なります。
中古マンションを購入した場合や、新築であっても数年住んだ後に賃貸に貸し出した場合は以下の計算式を用いて、残りの耐用年数を計算し直します。
中古マンションの耐用年数=(47年-経過年数)+経過年数×0.2
法定耐用年数を超えてしまうと、金融機関の融資を受けられなくなるリスクが生じるため、注意が必要です。
前提として、アパートマンションローンは法定耐用年数内の物件でなければ融資を受けることができません。例えば、築10年の鉄骨鉄筋コンクリート造の物件をマンション経営のために購入する場合、多くの金融機関は法定耐用年数の47年から10年を差し引いた37年を返済期限としています。既に47年を超えた物件の場合、融資を受けられない可能性が高いでしょう。また、法定耐用年数は新築のマンションを購入する場合も考慮する必要があります。
法定耐用年数を超えた時点でマンションを売却することも視野に入れる必要があるからです。法定耐用年数を超えると、老朽化が進んでいれば大規模な修繕やリノベーション費用も必要になります。マンション経営を始める際は、中古マンションを購入する場合だけでなく、新築マンションを購入する場合も法定耐用年数を基に長い目で検討する必要があります。
ここでは、減価償却を行うメリットを3点解説します。
1つ目のメリットは、キャッシュフローすなわちお金の流れが良くなることです。減価償却は法定耐用年数以内であれば、設備投資を経費として扱うことができます。家賃収入(売上)が増加すれば、それに伴い増税されます。しかし、ここで設備投資として減価償却費が増加すれば、その年の利益が減額し、税負担が軽くなります。経費でマンションの設備投資ができるため、節税になるうえ、マンションの質も向上します。したがって、減価償却を行えば効果的なキャッシュフローが期待できるでしょう。
2つ目のメリットは、適切にマンション管理が行えることです。法定耐用年数は、マンションだけでなく、あらゆる固定資産において標準的な使用年数に応じて規定されています。維持費や修繕費なども考慮されているため、法定耐用年数に応じてリフォームや買い替えをすることが可能です。すなわち、減価償却に伴う法定耐用年数が目安となって、マンションを安全かつ適切に管理することができるようになります。
3つ目のメリットは法人に限られてしまいますが、法人税を抑えられることです。減価償却は、減価償却費を経費として毎年計上するため、数年間に渡って利益を抑えることができ、それに伴い法人税を抑えることができます。法人税は(課税)所得×税率で算出します。所得は収入から必要経費を差し引いた額のため、取得価額を分割して毎年経費として計上したり、設備投資を経費としたりすることによって、必要経費が増加し、結果として法人税を抑えることが可能です。
ここでは、減価償却の計算の手順について解説します。
減価償却を行うにあたって、まずは所有するマンションの取得価格を土地と建物に分けて算出する必要があります。前述のとおり、土地は減価償却の対象に含まれないからです。土地と建物を分けるためには、不動産購入時に交わした売買契約書や譲渡対価証明書などを確認します。建物部分の正確な取得価額が割り出せたら、続いて建物と建物設備を分けます。建物設備にも減価償却が適用できますが、建物とは耐用年数が異なるためです。
減価償却できる設備は、一棟所有か区分所有によってもことなり、一棟の場合は建物付属設備や緑化設備、構築物、器具・備品などが含まれます。例えば、以下のものが挙げられます。
各設備の法定耐用年数を確認するためには、工事明細を細かく分類して1つひとつ調べなければなりません。しかし、設備部分が占める金額の割合は総額の1~3割のため、可能であれば減価償却を適用することを推奨します。
建物の純粋な取得価額を割り出せたら、減価償却費を算出します。
・新築マンションの場合
不動産の取得年月日が、2007年3月31日以前か4月1日以降であるかを確認し、対象となる耐用年数を当てはめて減価償却費を算出します。
減価償却費=取得価額×対象となる法定耐用年数に応じた償却率
・中古マンションの場合
築年数が耐用年数未満の場合
現在の耐用年数=対象となる法定耐用年数-(築年数×0.8)
法定耐用年数を超過している場合
法定耐用年数を超過していても、減価償却をすることは可能ですが、以下のように計算方法はやや異なります。
耐用年数=対象となる法的耐用年数×0.2
ここでは、マンション経営における減価償却に関するよくある疑問について解説します。
一棟所有で大規模修繕や設備交換を行った場合の減価償却は、修繕費か資本的支出かによって計上の仕方が異なるので注意が必要です。修繕費として扱う場合、支出した年の必要経費として全額計上することになります。一方、資本的支出であれば、資産として計上され、減価償却を適用することが可能です。
一般的に、金額が20万円未満または3年以内ごとに行われる支出、あるいは金額が60万円未満または金額が前年の固定資産の取得価額の約10%以下の支出は修繕費という扱いになります。修繕費と資本的支出の判断に迷った場合は税務署や税理士などの専門機関や専門家に相談しましょう。
青色申告をしている個人の賃貸マンションオーナーの場合、設備交換をする際に30万円未満の少額減価償却資産の特例を受けることが可能です。例えば、宅配ボックスや防犯カメラなどの設置がひとつあたり30万円未満であれば、少額減価償却資産として、購入年度に一括で経費計上することができます。
建物部分の価額が分からない場合の対処法は以下のとおりです。
消費税から算出する
売買契約書に記載されている消費税を基に商品価格を算出することで、建物価格を算出することが可能です。
固定資産税評価額から割合を求める
消費税が記載されていない場合、固定資産税評価額から土地と建物の割合を調べます。調べる方法は、毎年4月から5月に税務署から送られてくる固定資産税課税通知書に同封されている「課税明細書」で確認する、あるいは「固定資産評価証明書」を取得することです。「固定資産評価証明書」を取得する際は、手数料と本人確認書類を持参して各市町村の役所で申請しましょう。
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ここまで、マンション経営における減価償却についてご紹介しました。減価償却を行うことで、マンションの購入費を分割して複数年に渡って経費として計上できるため、節税だけでなく正確な財政状態を維持することができます。
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