不動産投資とインフレの関係性や、不動産投資がインフレ対策に強いといわれる理由を詳しく知りたいと思っている人は、多いのではないでしょうか。インフレになると、物価が上昇して家計負担が増える傾向にありますが、不動産価値や家賃などの上昇が期待できます。本記事では、不動産投資がインフレ対策になるといわれる理由、インフレ対策のポイント、不動産投資のリスクなどについて解説します。
「インフレ」とは、「インフレーション(Inflation)」の略であり、モノやサービスの価格(物価)が上がり続ける状態のことです。例えば、1個300円で販売されていた冷凍食品が翌年には400円になったり、1個500円だった果物が翌年には600円になったりするようなケースのことをいいます。インフレによって、お金(現金)の相対的な価値は下がります。インフレには、景気拡大に伴う「良いインフレ」と、家計を圧迫する「悪いインフレ」があります。
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<良いインフレ>
物価上昇により、企業の売上が増え、社員の給料も増えることで需要が増加し、企業の設備投資や消費が活発になります。消費が活発になると、企業の売上や社員の給料もさらに増えていきます。
<悪いインフレ>
原材料や商品の仕入れ価格が上昇し、上昇分を販売価格に転嫁できず、企業の業績が悪化します。業績が悪化することで社員の給料が減り、需要や消費が落ち込み、景気が停滞します。
インフレを引き起こす主な要因は、以下の通りです。
さまざまな要因が複雑に絡んで、インフレとなります。また、物価が過度に上昇し続けると「ハイパーインフレ」となり、お金の相対的な価値が極めて低くなります。なお、インフレとは反対に、モノやサービスの価格が下がり、お金の相対的な価値が上がることを「デフレ(デフレーション:Deflation)」といいます。
物価が上がり、相対的なお金の価値が下がるインフレになったとしても価値が下がりにくいといわれるモノや資産には、以下のようなものが挙げられます。
現物資産はインフレの影響が比較的少なく、金などの貴金属はインフレ時に人気が高い傾向にあります。また、インフレで物価が上昇すると業績が良くなる企業もあるため、インフレに強い銘柄の株式を持っておくと、資産を増やすことが可能です。
さらに、インフレ時は円安に動く傾向にあるため、米ドルやユーロなど円以外の外貨は人気が出ます。不動産も現物資産の一つであるため、インフレの影響が少ないことで知られています。投資用不動産であれば、インフレに強い上、毎月家賃収入を得ることが可能です。インフレによる家計の負担増を家賃収入でカバーでき、子どもの教育資金や老後資金対策にもつながります。インフレ時には、現物資産(金・不動産)、株式(インフレに強い銘柄)、外貨などのインフレに強い資産に投資を行い、リスクを分散してインフレヘッジを行いましょう。
不動産投資がインフレ対策になるといわれる理由が分かれば、インフレ時における他の投資との具体的な比較がしやすくなるでしょう。ここでは、不動産投資がインフレ対策になるといわれる3つの理由について紹介します。
インフレになると、物価が上昇するため、お金の価値は相対的に下がります。そのため、現金はインフレの影響を強く受けますが、現物資産である不動産の場合は、インフレであっても価値が下がりにくいのが特徴です。
現物資産は、実体があり、モノ自体に価値があるため、経済動向の変化に対して比較的強い傾向にあります。インフレになったからといって、マンションなどの不動産価値が一気に下落するようなことはほとんどありません。不動産によっては、インフレによって価値が上昇する場合もあります。また、資産価値が簡単に下がらないことからも、不動産投資はインフレ対策に有効な手段であるといえるでしょう。
不動産投資がインフレ対策になるといわれる理由の一つは、インフレが起きると家賃が上昇しやすくなるためです。インフレになると、モノやサービスの価格が上がります。
不動産投資の収入源には、「家賃収入」「売却益」がありますが、ほとんどの人が家賃収入を目的として長期的に運用しています。例えば、ワンルームマンション1室を運用していて家賃が8万円の場合は、年間で96万円の家賃収入を得ることができます。インフレによって家賃が9万円に上がったとすれば、年間の家賃収入は108万円となり、インフレ前よりも12万円の収入アップが見込まれます。
一般的には、消費者物価指数(消費者が購入するモノ・サービスなどの物価の変動を測定した指数)が上昇すると、家賃も徐々に上がります。管理費などのコストが上昇する可能性もありますが、コストの上昇分以上に家賃収入の増収が見込めるでしょう。「インフレでモノの価格が上がり、生活が大変になった」「家計が苦しくなった」といった場合においても、不動産投資の家賃収入が増えれば、家計負担増加分をカバーすることができます。
投資用ローンが目減りする点も、不動産投資がインフレ対策になるといわれる理由の一つです。インフレになると、お金の価値は相対的に下がるため、投資用ローン(借入金)の価値も実質的に下がります。例えば、投資用ローンで3,000万円の借り入れをしていた場合であっても、インフレで物価が上昇し、家賃収入などが増えれば、これまでに比べて返済しやすくなるでしょう。ただし、インフレになると、ローン金利が上昇する傾向にあるため、注意が必要です。投資用ローンの金利が上昇すると、返済額が増えることになります。
固定金利の場合は、金利が上昇しても影響を受けませんが、変動金利の場合は、金利の見直しが年2回、返済額の見直しが5年に1回あるのが一般的です。そのため、インフレの金利上昇によって、返済負担が大きくなることも考えられます。目先の金利は、変動金利よりも高くなりますが、インフレの金利上昇の影響を避けたい場合は、固定金利を検討すると良いでしょう。このように、不動産投資は、金利上昇のリスクはあるものの、インフレによって投資用ローンが目減りすることで人気があります。
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不動産投資は、インフレ時にも資産価値が下がりにくい上、家賃収入の増収が期待でき、投資用ローンが目減りするなどといった魅力があります。しかし、不動産投資には、以下のようなリスクがあることを忘れてはなりません。
不動産投資は、リスクを把握した上で管理や対策をしていなければ、インフレに関係なく失敗してしまいます。不動産投資のリスクをきちんと理解した上で、あらかじめ対策を講じておきましょう。以下、不動産投資のリスクについて紹介します。
不動産投資の代表的なリスクとして挙げられるのは、空室リスクです。空室リスクとは、所有する物件の入居者が見つからず、空室が発生し、家賃収入が減ってしまうリスクのことです。
例えば、家賃10万円のワンルームマンションを1室所有している場合、入居者がいれば、家賃収入が毎月10万円入ってくるため、毎月のローンの返済に充当することが可能です。しかし、入居者がおらず空室になると、家賃収入が0円となるため、給料や貯金などからローンを返済しなければなりません。空室期間が長くなると、資金繰りが悪化し、破綻するリスクが高くなります。空室リスクの主な対策は、以下の通りです。
上記の対策を講じることによって入居率が高まり、空室リスクを軽減することができます。空室リスクをゼロにすることはできないものの、リスクに備えた物件選びや運用方法によって、比較的安定した不動産経営が可能となります。
不動産投資は、災害リスクにも注意しなければなりません。災害リスクとは、地震、台風、大雨、火災などによって損害を受けるリスクのことです。日本は、地震や台風が多い国であるため、どのエリアに物件を所有したとしても、災害リスクがゼロになりません。そのため、いつ災害が発生しても大丈夫であるように備えておくことが大切です。災害リスクの主な備え・対策は、以下の通りです。
火災保険や地震保険に加入していれば、建物が災害によって損害を被った場合でも補償を受けられ、修繕費用などの経済的負担を軽減できて安心です。物件を選ぶ際には、ハザードマップを確認し、地震などの災害に強い地域かどうかを調べておきましょう。災害の被害を受けやすい地域と災害に強い地域があった場合、後者の地域を選べば、災害リスクの軽減につながります。国や自治体が公表している情報を参考にした上で、地震や水害に強い物件を選びましょう。
また、築年数が古すぎる物件は、旧耐震基準(1981年5月まで適用)の可能性があるため、注意が必要です。旧耐震基準は、「震度5強程度の地震で倒壊しない」を基準としており、「震度6強、7程度の地震でも倒壊しない」を基準とする現在の新耐震基準と比べて求められる耐震基準が大きく異なります。災害リスクにしっかりと備えることで、万が一の損害を抑えられます。
家賃滞納リスクとは、入居者が家賃を滞納することで予定通り家賃収入を得られないリスクのことです。家賃滞納期間が長くなると、資金繰りが悪化して破綻する可能性が高くなります。「公益財団法人日本賃貸住宅管理協会」が2021年6月に発表した「第25回 賃貸住宅市場景況感調査(2020年度下期データ)」によると、月初の滞納率は、以下の通りです。
・全国:5.0% |
・首都圏:4.1% |
・関西圏:8.2% |
・その他:4.8% |
上記の通り、全国の滞納率は5.0%であり、20人に1人は家賃を滞納していることが分かります。家賃滞納リスクの主な対策は、以下の通りです。
家賃滞納が発生した場合、オーナー自身が直接やり取りして対応するのは難しいため、管理会社に任せるのが一般的です。実績豊富で信頼できる管理会社であれば、適切な対応により家賃を回収することが可能です。また、しっかりとした入居者審査をすることによって、家賃滞納リスクを軽減できます。
建物老朽化リスクとは、不動産が年数とともに老朽化し、さまざまな事故や不具合、修繕が発生するリスクのことです。新築・中古どちらの物件においても、老朽化すると次のような修繕が必要となります。
修繕コストは、「ワンルームよりもファミリータイプ」「区分所有よりも一棟マンション」など、不動産の規模が大きいほど高くなります。そのため、建物老朽化リスクを考慮した上で、メンテナンスや資金計画を立てておくことが大切です。
流動性リスクとは、物件の売却が難しく、換金しづらいリスクのことです。売却に出しても買主が見つかりにくいため、相場よりも売却価格を安くするなどといった対応が必要です。また、売却に時間がかかるため、まとまったお金が必要なタイミングに間に合わない可能性があります。
流動性リスクを抑えるためには、立地にこだわって物件選ぶことが大切です。「都市部の駅近で商業施設が多い」「オフィス街へのアクセスが良い」などといった物件であれば一定の需要が見込まれるため、流動性のリスクは低い傾向にあります。設備などについてはリフォーム・リノベーションができるものの、立地については変更することができません。立地条件の良い物件であれば、流動性リスクが低いだけでなく、高い賃貸需要が期待できます。
不動産投資には、空室リスク、家賃滞納リスク、建物老朽化リスクなど、さまざまなリスクがあるため、「インフレ対策になるから」という理由だけで安易に不動産投資を始めるのは危険です。インフレ対策で不動産投資をする際には、以下のような物件を選ぶと、さまざまなリスクを軽減できます。
また、契約に当たっては、実績豊富で信頼できる不動産会社、管理会社を選ぶようにしましょう。信頼できる不動産会社、管理会社であれば、条件の良い物件選びや入居者満足度の高い対応もしやすく、安定経営につながります。
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ここでは、不動産投資がインフレ対策になるといわれる理由、インフレ対策のポイント、不動産投資のリスクなどについて解説しました。不動産投資は、インフレ対策として有効な手段の一つであり、物価上昇によって家賃や不動産価値が上がる可能性があります。インフレに強い資産を運用したい場合は、ぜひ不動産投資を検討してみましょう。