アパート経営に興味を持っている人の中には、「自己資金はどれくらい必要?」「どんな費用がかかるの?」などといった疑問を持っている人も多いのではないでしょうか。まずは、自己資金や費用の内容を把握しておくことで、具体的な資金計画を立てられます。本記事では、アパート経営に必要な自己資金の目安、具体的な費用、自己資金が不足している場合の対応などについて解説します。
アパート経営を始めるために必要な自己資金の目安は、物件や年収によって変わるものの、「物件価格の1〜3割程度」といわれています。自己資金で足りない残りの金額については、不動産投資ローンを利用します。例えば、物件価格が5,000万円だとしたら、自己資金は500万〜1,500万円程度、ローン借入金額は3,500万〜4,500万円程度です。
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自己資金が多ければ借入金額が減るため、ローン審査が有利となり、自己資金が少なければ借入金額が増え、ローン審査が厳しくなる傾向にあります。また、借入金額が多いと、毎月のローン返済額が高くなります。
ただし、「自己資金が1〜3割必要だから」といって、貯金などの全ての財産を注ぎ込んでしまうと、修繕費用など急な出費に対応できなくなるため、注意が必要です。自己資金が物件価格の1〜3割必要ということは、あくまでも目安であるため、事前に不動産会社と相談した上で資金計画や収支シミュレーションを行い、無理のない範囲で自己資金を用意しましょう。
アパート経営に必要となる具体的な費用を把握しておくと、収支シミュレーションや資金準備がしやすくなります。以下、どのような費用がかかるのか、費用の内容や目安を把握しておきましょう。
【アパート経営に必要な費用】 |
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・建設にかかる初期費用 |
・建設以外の初期費用 |
・アパートの維持費用 |
まずアパート経営に必要な費用として挙げられるのは、建設にかかる初期費用です。立地や依頼する不動産会社・建設会社、設備などによって変わるものの、アパートを建設する場合の構造別坪単価の目安は、以下の通りです。
構造 | 坪単価の目安 |
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木造 | 50万〜100万円程度 |
鉄骨造 | 70万〜120万円程度 |
鉄筋コンクリート造 | 80万〜120万円程度 |
アパートは、木造や鉄骨造がメインであり、鉄筋コンクリート造はほとんど見られません。例えば、80坪の木造アパートであれば、4,000万〜8,000万円程度の費用がかかります。建物に関する費用は、アパート経営にかかる費用の中で最も大きくなります。
アパート経営の建設以外にかかる費用については、内容や相場を把握しておけば、具体的な資金計画を立てられます。以下、建設以外にかかる3つの費用について、詳しく見ていきましょう。
【建設以外の初期費用】 |
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・登記費用 |
・火災保険の初期費用 |
・不動産取得税 |
アパート経営を始める際に建設以外の初期費用としてかかるのは、登記費用です。登記費用とは、不動産登記にかかる費用のことであり、不動産(アパート)の権利関係を明らかにするために、不動産の所在、面積、所有者などの情報を記録します。登記した情報は、法務局が管理する帳簿で確認できます。アパート経営を始める場合は、以下の登記が必要です。
登記費用は、「登録免許税」「司法書士報酬」に分けられます。オーナー自らが登記手続きをすることもできますが、書類の準備や申請に手間や時間がかかるため、司法書士に依頼するのが一般的です。
アパート経営の登記費用は、物件の規模などによっても変わりますが、「所有権保存登記」「抵当権設定登記」の2つを合わせて20万〜50万円程度です。
ただし、司法書士によっては、手数料が異なるため、少しでも安く抑えたい場合は、複数の司法書士事務所を比較した上で検討すると良いでしょう。
アパート経営をする場合は、火災保険料もかかります。「火災保険」という名前から「補償されるのは火災による損害だけ」だと思う人もいるかもしれませんが、火災保険は、火災以外の災害で受けた損害の場合であっても補償されます。火災保険の補償内容は、主に以下のようなものが挙げられます。
火災だけではなく、台風などによる浸水被害、偶然の事故による破損、盗難などに関しても、補償を受けられます。また、臨時費用補償特約、建物管理賠償責任補償特約、弁護士費用特約、家主費用補償特約なども付けられます。火災保険は、地震を原因とした損害については補償対象ではありませんが、地震以外のさまざまな災害による損害については補償対象です。
火災保険の保険料は、10年一括払いが一般的です。保険料の目安は、地震保険付きで30万〜50万円程度となります。
アパート経営でかかる費用の一つが、不動産取得税です。不動産取得税とは、建物や土地などの不動産を取得した場合に課税される税金のことです。不動産を購入後、半年〜1年半程度経った頃に請求されるため、忘れないように管理しておく必要があります。不動産取得税は、以下の計算式で求められます。
不動産取得税=固定資産税評価額×3% |
固定資産税評価額は、土地であれば公示価格の7割程度、建物であれば建築費の5〜6割程度が目安となります。また、アパートの床面積が40㎡以上240㎡以下の場合は、新築住宅等の軽減措置として建物の価格から1,200万円の控除が受けられます。
なお、固定資産税評価額は、市区町村から届く「課税明細書」や役所の「固定資産課税台帳」などで確認することが可能です。
アパート経営を維持するためには、以下の費用がかかります。
【アパートの維持費用の内訳】 |
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・管理費 |
・修繕費 |
・リフォーム費 |
・光熱費 |
・仲介手数料 |
・損害保険料 |
・退去後の原状回復費 |
・不動産会社へ支払う広告費 |
管理費は、アパートの管理や入居者対応を管理会社に委託する際にかかる費用です。管理会社に委託することで、オーナーはクレーム対応や家賃回収などをしなくて済みます。管理費の相場は、家賃の5~8%程度です。
築年数が古くなると、室内や共用部分の修繕・リフォーム費用が発生します。共用部分の光熱費は、毎月発生し、オーナーが負担することになります。
また、入居者が決まった場合は、仲介した不動産会社に仲介手数料を支払います。仲介手数料は、家賃の半月分です。火災保険料や地震保険料の契約期間が短い場合は、毎年のように保険料を支払う必要があります。
入居者が退去した後の原状回復費や入居者募集のための広告費なども、アパート経営で外せない維持費用です。
このように、アパート経営に当たっては、費用がかかることを理解した上で、事前に収支シミュレーションを行っておく必要があります。
アパート経営を始める際に自己資金が不足している場合は、以下の方法で資金を調達しましょう。
【自己資金が不足している際に利用するローン】 |
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・アパートローン(提携ローン、プロパーローン) |
・金融機関以外からのローン |
・住宅金融支援機構からのローン |
これらのローンには、審査がある上、金利負担がかかりますが、たとえ自己資金が不足していたとしても、アパート経営を始めることができます。以下、4つのローンの特徴について、見ていきましょう。
アパートローンとは、アパートやマンションなどの不動産投資を始める際に利用できる融資のことです。アパートローンを取り扱う金融機関は、以下の2種類があります。
一般的に、商品やサービスは、公的金融機関よりも民間金融機関の方が充実していますが、審査のハードルは、公的金融機関よりも民間金融機関の方が高い傾向にあります。金利や借入期間などの条件については、金融機関によって異なります。アパートローンを利用するメリットは、多くの金融機関が取り扱っていることから自分に合った商品を選べることです。デメリットは、提携ローンと比べて金利が高い傾向にあることです。
また、アパートローンは「提携ローン」と「プロパーローン」の2つに分けられます。
提携ローンとは、不動産会社が金融機関と提携し、独自に提供しているローンのことです。通常のアパートローンと比べて「金利が低い」「審査のハードルが低い」などといったメリットがあります。ローンの手続きは、不動産会社が仲介するケースが多いため、スムーズに進められます。デメリットは、「商品数が限られていること」です。不動産会社1社が提供する提携ローンは1〜2つ程度であるため、必ずしも利用したい金融機関や商品でない可能性があります。
プロパーローンとは、金融機関が独自に融資するローンのことです。保証会社の保証はつきません。融資額や資金使途などは比較的柔軟に対応でき、明確な限度額がない場合が多く、金利やローン年数は物件の収益性などで変わります。
金融機関以外には、信販会社やクレジット会社などのローンを利用する方法もあります。信販会社やクレジット会社を利用するメリットは、一般的な金融機関と比べて審査のハードルが低い傾向にあることです。しかし、比較的金利が高く、借入期間が短いため、毎月のローン返済額が高くなることがデメリットです。
住宅金融支援機構には「賃貸住宅建築融資」があり、「子育て世帯向け省エネ賃貸住宅建設融資」「サービス付き高齢者向け賃貸住宅建設融資」などでアパート経営の融資を受けることが可能です。住宅金融支援機構でローンを利用するメリットは、民間金融機関と比べて審査のハードルが低い傾向にあることです。ただし、商品数が少なく、条件が設けられているため、誰でも利用できるというわけではありません。
アパート経営に当たっての自己資金やローンの工面ができたとしても、他にも問題点があるため、把握しておく必要があります。アパート経営における問題点を把握しておくと、リスク管理や対策を講じやすくなります。また、本当に自分に見合った投資なのかどうかについて、見極めることができるでしょう。以下、必ず知っておきたいアパート経営における問題点を見ていきましょう。
【アパート経営における金銭面以外での問題点】 |
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・初期費用が大きい |
・修繕費用の負担が大きくなりやすい |
・売却しづらい |
・初心者にはハードルが高い |
まず、アパート経営における問題点として挙げられるのは、初期費用が大きいことです。アパートを一棟まるごと建設または購入するためには、多額の費用が発生します。
例えば、鉄骨造のアパートの坪単価は「70万〜120万円程度」といわれており、80坪のアパートの場合は5,600万〜9,600万円程度の費用がかかります。また、土地を所有していない場合は、アパートの建設費用に加え、土地の取得費用がかかるため、注意が必要です。「駅から徒歩圏内」「商業施設が近くて便利」「人気のエリア」など、好立地な場所であれば、膨大な費用がかかるでしょう。全額を不動産投資ローンで借り入れると、毎月のローン返済額が高くなり、十分な利益を得られない可能性があります。自己資金なしの場合は、審査のハードルも高くなってしまうでしょう。
このように、アパート経営は魅力的ですが、初期費用が大きい傾向にあるため、事前の資金計画が重要です。自己資金が少ない場合はワンルームなどの区分マンションのように、初期費用を比較的抑えられる不動産投資から始めるのがおすすめです。
アパート経営に当たっては、修繕費用の負担が大きくなりやすいことも問題点として挙げられます。アパート経営は、一棟まるごとを管理するため、以下のような箇所の修繕が必要です。
定期的な修繕に加えて、10〜15年サイクルで大規模修繕を行う必要があります。これらの修繕費用は、毎月の家賃収入から準備しなければなりません。修繕費用の準備ができていなければ、新たに借り入れが必要となり、毎月のローン返済が厳しくなる可能性があります。「お金がないから」などといった理由で修繕しなければ、アパートの価値や入居者の満足度が下がってしまい、空室率の上昇につながるでしょう。
しかし、例えば、区分マンション投資であれば、アパート経営と比べて修繕費用を大幅に抑えることができます。アパート経営を始める場合は、修繕費用の負担が大きくなりやすいことを理解しておく必要があります。
中古の一棟アパートは、一戸建てや土地に比べて買い手が見つかりにくく、売却しづらい傾向にあります。売りたいタイミングでの売却が難しい上、その間の維持管理費についても負担しなければなりません。売却できなければ、売却金額を妥協しなければならず、当初の想定よりも手元に入るお金が少なくなる可能性があります。また、売却代金でローンを返済できない場合は、足りない分を貯金などで補填しなければなりません。立地、築年数、設備などにもよるものの、買い手が見つかりにくい可能性があることも考慮した上で、物件選びを行う必要があります。
アパート経営は、不動産投資初心者にとって「ハードルが高い」といわれています。なぜなら、区分所有と比べて、物件の規模、初期費用、維持管理費用が大きい傾向にあるからです。また、大きなリターンが期待できるものの、リスクも大きくなるため、大損する可能性があります。ワンルームマンション投資などと比べると、部屋数が多くなるため、空室率が高い物件を選んでしまうと、毎月多額の赤字が発生します。さらには、修繕費用などの維持管理費用も高額であるため、不動産投資初心者にとってはリスクが高く、注意が必要です。まずは、規模や投資金額を抑えた上で不動産投資をスタートし、経験を積んでからアパート経営に挑戦しても遅くはありません。
「初期費用が大きい」「修繕費用の負担が大きくなりやすい」など、アパート経営の問題点に不安を感じる人は、区分マンション投資がおすすめです。ワンルームやファミリータイプなどの区分マンション投資は、アパート経営ほど初期費用や修繕費用がかかりません。また、流動性が高い傾向にあり、売却しやすい点も魅力です。さらには、物件数も豊富であり、多くの不動産投資初心者に選ばれています。
毎年多くのお客様がトーシンパートナーズでマンション経営をスタートしています
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ここでは、アパート経営に必要な自己資金の目安、具体的な費用、自己資金が不足している場合の対応などについて解説しました。アパート経営は魅力的な投資の一つです。しかし、不動産投資初心者にとってはリスクが高いため、自己資金が少ない方は、最初は区分マンション投資からスタートし、経験を積んでからアパート経営にチャレンジすると良いでしょう。