間もなく退職を迎える方の中には、退職金を運用すべきか悩んでいる方も多いと思います。長期化する老後に備えるには運用で資産を増やすことをおすすめしますが、運用に失敗して退職金を減らしては意味がないため、誤った運用をしないように注意しなくてはなりません。
この記事では、退職金を運用すべき理由、誤った活用方法、運用するコツと方法などを解説します。退職金の運用について悩んでいる方は是非ご参照ください
退職金を受け取った場合、銀行口座に入れたままにする方も多いと思います。しかし、以下の5つの理由から、銀行口座に入れたままにするよりも運用すべきと言えます。
厚生労働省が公表している簡易生命表の概況(令和3年版)によると、男性の平均寿命は81.47歳、女性の平均寿命は87.57歳という結果でした。令和2年よりは下回ったものの、平均寿命の延びは顕著で、人生100年時代が到来していると言えます。
仮に65歳で退職した場合、平均寿命通りでも20年、100歳を想定すると30~40年と退職後の生活は長いです。老後の生活費に困らないためにも、少しでも退職金を運用して増やしたほうが良いでしょう。
厚生労働省が公表している就労条件総合調査の結果の概況(令和3年版)によると、令和3年の退職給付等の費用(常用労働者1人1ヶ月あたり)は15,955円でした。平成28年は18,834円なので、退職金が減少傾向にあることが分かります。
平均寿命の延びで退職後の期間が長くなっているにもかかわらず、十分な退職金をもらえないことを考えると、運用で退職金を増やす必要性が理解できるでしょう。
老後資金2,000万円とは、金融庁が公表した老後30年間で約2,000万円不足するという試算結果から世間に広く知られることになった1つの目安です。
2,000万円というのはあくまでも目安で、支給される年金額や老後の年数、老後の支出によって異なります。病気の治療や介護などによって治療費や介護費などが支出に上乗せされる老後の年数が30年以上になる可能性を考えると、退職金を運用して老後資金を2,000万円以上に増やしたほうが良いでしょう。
年金の受給開始は一般的に65歳です。60歳で定年退職を迎えた場合は、年金の受給開始の65歳まで再雇用で収入を補います。しかし、現役時代よりも再雇用後の収入は大幅に減少するケースが多く、退職金の一部を取り崩しながら生活することになります。
65歳を迎えるまでに退職金を減らしてしまうと、減らした分だけ老後の生活が苦しくなるので、運用で退職金が減るのを少しでも抑える必要があるでしょう。
日本は円安やウクライナ情勢、少子化などの影響を受けて、インフレが進行しています。インフレになると物価が上昇するため、現金の価値が目減りします。
退職時に1,000万円を受け取ったとしても、30年後にその価値を維持しているとは限りません。運用すれば、退職金を増やせるだけでなく、現金を物に変えることによってインフレの影響を軽減できるでしょう。
老後を安心して迎えるには退職金を運用して少しでも老後資金を増やすことが大切ですが、誤った活用方法を選択すると老後資金を減らすことになるので注意が必要です。退職金の誤った活用方法として、以下の3つが挙げられます。
金融機関に貯蓄したままにしておくことでも利息によって多少は退職金を増やすことが可能です。しかし、貯金は退職金を日本円のまま持っているのでインフレ対策にはなりません。
また、現在の金利では増やせると言っても微々たるもので利息だけでは老後資金を十分にカバーできないため、他の方法で退職金を運用することをおすすめします。
退職金が減少傾向にあると言っても、ある程度の金額を受け取れるので老後は年金と退職金を取り崩しながら生活しようと考えている方もいると思います。
しかし、退職金を生活費としてすべて使ってしまうことはおすすめしません。その理由は、退職金をそのまま使うと、受け取った退職金が金額以上の価値にならないためです。
退職金から万が一に必要な資金を確保して残りを運用すれば、退職金の価値を高められるでしょう。
退職金はある程度の金額になるため、自分へのご褒美や家族への感謝の思いから高額商品を購入する方も少なくありません。
しかし、退職金を受け取ってすぐに高額商品を購入することはおすすめしません。その理由は、受け取ってすぐは金銭感覚が麻痺しており、冷静な判断ができないためです。
退職金を受け取った後は、運用に回す額と万が一に備えるための資金を確保し、残った金額を商品の購入に回すと良いでしょう。
退職金運用を成功させるには、以下の4つのコツを押さえた上で運用を開始することが大切です。
長期運用とは、5年や10年などのように長期的な計画で資産を増やすことです。金融商品は景気や金利、社会情勢などの影響を受けて日々価格が変動します。
短期的な価格変動を見ると価格が下落していても、長期的な価格変動を見ると価格が上昇しているケースも少なくありません。日々の価格変動に一喜一憂するのではなく、長期的な目線で資産を運用しましょう。
積立投資とは、資金を一度に運用するのではなく、複数回に分割して運用することです。先ほども触れた通り、金融商品は日々価格が変動しているため、一度に運用すると高値掴みのリスクが高まります。
積立投資を心がけて金融商品を分けて購入すれば、取得単価を平均化することで高値掴みを回避できます。〇万円ずつ毎月購入するといったようにルールを決めて資産を運用しましょう。
分散投資とは、複数の金融商品に分けて投資することです。1つの金融商品に集中投資すると、価格変動のリスクの影響が大きいです。しかし、複数の金融商品に分けて運用すれば、価格変動のリスクを分散できます。
株と債券は価格の変動が逆になる負の相関関係にあります。このような金融商品を組み合わせれば、リスクを抑えながら資産を増やせるでしょう。
退職金を運用する場合には、全額を運用に回すのではなく3つに分けましょう。例えば、生活に必要なお金、将来のために確保しておくお金、使う予定のないお金です。
資産運用は成功が保証されているわけではありません。最悪の場合、資産を減らす可能性があります。失敗の影響を最小限に抑えるためにも、資金管理をしっかりと行い、余剰資金のみの運用に留めましょう。
資産運用には数多くの種類があります。選択する運用方法によってリスク・リターンは異なるため、運用方法の種類と特徴を事前に把握しておくことが大切です。
退職金の主な運用方法として、以下の7つが挙げられます。
個人向け国債とは、国が発行する債券を購入して、満期時に元本と利息を受け取る資産運用の手段です。元本が保証されており、資産が減る心配はありません。また、最低利率が保証されているため、確実に資産を増やせるのが魅力です。
しかし、利息が高くはなく、運用しても増えるのは微々たるものであることを理解してから運用しましょう。
不動産投資とは、アパートやマンションなどを購入して、貸し出すことで家賃収入を得る資産運用の手段です。運用を開始した後は、安定した家賃収入が期待できる、不動産価格が上昇すれば売却することで売却益も期待できます。
しかし、退職金だけでは購入資金が不十分なので、運用を開始するのに金融機関の融資は避けられません。また、運用を開始しても必ず安定した賃料が得られるとは限らない点に注意が必要です。
一般的には退職時というよりも現役時のローンを組みやすい時期に不動産投資を開始し、家賃収入でローンの返済を行いつつ、残債を減らしていきます。退職時にローンが残っていれば、退職金で一括返済することで、それまで返済に充てていた家賃収入をまるまる受け取ることができ、入居者がいる限り不労収入を得ることが可能になります。
投資信託とは、資産運用の専門家に資産を預けて代わりに運用してもらう資産運用の手段です。資産運用の専門家に一任できるので、資産運用初心者や運用する時間を確保できない方でも安心です。
しかし、投資信託は成功が約束されているわけではありません。また、リスクを抑えながら運用するため、自身で運用するよりも利回りが低いという点に注意が必要です。
株式投資とは、証券取引所に上場されている株式を売買することで利益を得る資産運用の手段です。自身で銘柄を選び、売買のタイミングを決めるのでうまくいけば多くの利益が期待できます。また、配当金や株主優待を受け取れるのも魅力です。
しかし、知識や経験が乏しい方が株式投資をした場合は、大きく資産を減らす可能性があります。株式投資はハイリスク・ハイリターンの運用手段であることを理解しておきましょう。
貯蓄型保険とは、掛け捨てではなく、掛けた保険料以上に解約返戻金を受け取れる資産運用の手段です。一般的な保険商品は保険料が掛け捨てです。しかし、貯蓄型保険は、掛けた保険料に応じて解約返戻金を受け取れます。
また、保険に加入することで万が一の事態に備えられるほか、生命保険料控除の対象にもなるので所得税の還付を受けられます。しかし、運用利回りは決して高くありません。資産を効率良く増やしたいのであれば、他の運用方法を選びましょう。
退職金向けの定期預金とは、預入資産が退職金のみに限られている定期預金で、預入期間に応じた利息を受け取れる資産運用の手段です。一般的な定期預金よりも金利が高く設定されているので、効率良く資産を増やせるほか、元本が保証されているのも強みです。
しかし、優遇期間が決まっており、期間が過ぎると通常の金利が適用されます。いくら優遇されていても金利は低く、運用しても増えるのは微々たるものであることを理解してから運用しましょう。
ファンドラップとは、投資家の方針に基づいて金融機関が代わりに資産を運用してくれる資産運用の手段です。個々の方針に基づいてプランを組んでくれるため、安心して運用を任せられるのが魅力です。
ただし、運用結果に成功報酬を金融機関に支払わなくてはなりません。手数料が高額になるということを十分に理解してから運用を始めましょう。
退職金の運用に興味があるものの、誰に相談すればいいか気になっている方も多いと思います。退職金運用の主な相談先として、以下の3つが挙げられます。
証券会社は投資信託や債券、株式などの幅広い金融商品を扱っている相談先です。基本的に無料で相談を受けられるものの、投資家の利益よりも証券会社の利益を優先した金融商品を提案する証券会社もあるので見極めが必要です。
また、担当者の転勤が3年に1回程度といったように定期的にあり、担当者との信頼関係を構築しにくい点に注意してください。
不動産会社は不動産投資に関するアドバイスを受けられる相談先です。相談は原則無料ですが、売れ残りの物件を提案するといったように投資家の利益よりも会社の利益を優先する不動産会社もあるので注意が必要です。
また、不動産投資のアドバイスには対応しているものの、逆にそれ以外の相談には対応していないことが多いです。さまざまな運用手段について相談したい方は他の相談先もあると安心でしょう。
IFAとは、独立系ファイナンシャルアドバイザーのことで、幅広い資産運用のアドバイスを受けられる相談先です。証券会社の担当者は自社の利益を考慮した提案を行う必要があるため、中立的なアドバイスが受けられるとは限りません。
しかし、IFAはどこの組織に所属していないため、中立的な提案が期待できます。また、IFAに勤めているのは証券会社に勤めていた方が多く、資産運用の専門家としての経験値が高いでしょう。
元本が保証されている資産運用以外は、資産を減らす可能性があります。また、選んだ運用方法によっては、目標を達成できない可能性があるので、よく考えてから運用を開始する必要があります。
退職金運用を成功させるには、以下の4つのコツを事前に押さえておくことが大切です。
退職金は大切な老後の資金です。運用に失敗して資産を減らしては、老後の生活が苦しくなるため、リスクを分散しながら安定した収益を目指すことが大切です。
時間を分散する、金融商品を分散するといったように、リスクを抑えることを優先しましょう。
若い方が資産運用を始める場合は、収入面での挽回が期待できるため、ハイリスク・ハイリターンの運用方法を選択しても問題ありません。しかし、退職者は若い方のように挽回できないため、リスク・リターンのバランスの良い運用方法を選択することが大切です。
例えば、退職後もシルバー人材センターやアルバイトなどで一定期間働く場合には、無理にリスクの高い手段を選択する必要はありません。ライフプランに応じて運用方針を決定しましょう。
短期的に手元にある退職金を増やしたいと考える方も多いと思います。しかし、短期的に増やせる運用手段はハイリスクであることが多く、運用に失敗すると資産を大きく減らす恐れがあるので注意が必要です。
退職金運用で大切なのは安定性です。長期的な運用を心がければリスクを抑えられます。目先の価格変動に一喜一憂せずに、冷静に退職金を運用しましょう。
企業は業績が右肩上がりになるように戦略を練って経営しています。そのため、基本的には成長が期待できる個別株に余剰資金を投入すれば、長期的に資産が増える可能性が高いです。
しかし、必ずしも業績が右肩上がりになるとは限りません。1社だけに集中投資した場合、価格変動のリスクが大きいため、複数の銘柄に分けて投資しましょう。
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家族のために、自分のために、未来の安心のために、ローリスク&ロングリターンな資産運用を始めてみませんか?
高齢化が進む日本の現状を考えると、老後の生活が長引くことによって生活費が不足する可能性が高いです。老後を安心して迎えるには、老後の生活費をしっかり確保することが重要です。
「退職金があるので、老後の生活費は問題ない」と考えている方も多いと思います。しかし、退職金の支給額は年々減少しており、退職金だけでは不十分な可能性が高いです。
退職金をうまく運用して、老後の生活費を増やすことができれば、万が一老後の生活が長引いた場合や病気や介護などで支出が増えたとしても、安心して暮らせるでしょう。