マンション投資が節税になるカラクリとは?
失敗しないためのポイントをわかりやすく解説

「マンション投資は節税になる」という言葉を見聞きして、どのようなカラクリなのか気になっている人も多いのではないでしょうか。結論からいうと節税になる理由は、赤字を「損益通算」できるためです。

ただし、節税のメリットを受けられる人は限られるため、ご自身が対象になるのかを把握しましょう。

本記事では、マンション投資が節税になるカラクリや失敗しないためのポイントを解説します。最後までお読みいただければ、節税する方法がわかり、より効率的なマンション投資を始められるでしょう。

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    マンション投資が節税になるカラクリとは?

    マンション投資が節税になる理由は、所得税を減らす効果が期待できるためです。節税になるカラクリは、以下のとおりです。

    それぞれのカラクリを詳しく解説します。

    減価償却が有効

    減価償却(げんかしょうきゃく)とは、長期間に渡って使用できる高価なものに対して、購入した年に一括して経費に計上するのではなく、使用可能な期間である法定耐用年数に応じて、分割して経費を計上することです。

    そもそもマンション投資で出た利益は、金額に応じて所得税や住民税を納付しなければなりません。マンション投資で発生した利益である課税所得は、以下の計算式で求められます。

    減価償却によって経費の計上が多くなるほど課税所得が減少するため、長年にわたり節税効果が高くなります。

    投資用マンションの法定耐用年数は、法律によって以下のように定められています。

    投資用マンションの構造法定耐用年数
    鉄筋コンクリート造(RC)
    鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)
    47年
    鉄骨造(厚さ4mm超)38年
    鉄骨造(厚さ3mm超4mm以下)30年
    鉄骨造(厚さ3mm以下)22年
    参照:耐用年数(建物/建物附属設備)| 国税庁

    鉄骨造は、法定耐用年数の基準とは異なる重量鉄骨と軽量鉄骨の2種類が使われています。重量鉄骨の法定耐用年数は、厚さが4mm以上のため38年です。

    一方で、軽量鉄骨の場合、不動産会社に確認しない限り鉄骨の厚さが不明のため、耐用年数がわかりません。提案書に耐用年数が記載されていない場合、不動産会社に確認しましょう。

    なお、中古物件の減価償却期間は、残っている法定耐用年数によって異なります。

    この減価償却期間の計算から、新築物件よりも中古物件のほうが節税効果が高くなります。

    以下のシチュエーションで、1年間の減価償却費用を求めます。

    上記のシチュエーションでは、経費として年間約85.1万円を計上できます。なお、減価償却できる時期は、法定耐用年数の期間に限られます。税金の負担を抑えるために、耐用年数の期間内に適切タイミングで売却することが重要です。

    なお、土地は経年によって価値が減るものではないため、減価償却資産に含まれません。

    必要経費として計上できる

    減価償却以外に、管理委託料や修繕積立金なども必要経費として計上できます。

    マンション投資における必要経費とは、家賃収入を得るための以下の支出を指します。

    必要経費概要
    管理費管理組合に支払う費用(エレベーターのメンテナンス費用・消防設備の法定点検の費用などに使われる)
    管理委託料管理会社への委託料
    ※自己管理の場合は不要
    保険料火災保険料・地震保険料
    修繕積立金管理組合に支払う費用(マンションの大規模修繕のための費用)
    リフォーム費用退去後に壁紙の張替えや破損した部分の修繕にかかる費用
    税金固定資産税・不動産取得税
    その他の経費・住宅ローン返済額の利息
    ・確定申告を依頼する税理士への報酬
    ・マンション投資関連の新聞図書費
    ・仲介手数料 など

    マンション投資の経費として計上できる項目は多く、節税効果が高まりやすいと言えます。

    損益通算できる

    損益通算とは、不動産所得や山林所得などで発生した赤字を、他の所得と相殺して申告できる制度です。マンション投資で発生した赤字は、給与所得の黒字と損益通算できるため、節税効果が期待できます。

    発生した赤字には、管理費や保険料、減価償却による経費などが含まれます。しかし、不動産所得が赤字の場合、土地取得のために借りたローンの利息は損益通算できません。

    ここまでの内容をまとめると、マンション投資で節税効果を得るには、赤字を発生させる必要があります。とはいえ、マンション投資を行う目的は節税ではなく、家賃収入を得ることです。利益も生み出すために投資を行うにもかかわらず、節税目的で赤字を目指すのは本来の目的に合っていません。

    マンション投資で節税のメリットが出やすい人

    マンション投資は節税を目指すものではないとお伝えしましたが、なかには節税のメリットを受けやすい人がいます。具体的には、以下のとおりです。

    節税について考える時は、出口戦略(売却)を前提に考える必要があります。

    課税所得が900〜1,799.9万円までの人に課税される所得税の税率は、33%と定められています。マンションを5年超えて保有した後に売却した時の長期譲渡所得税の税率は、20.315%です。

    減価償却の期間中は、会計上の赤字×33%分の税金を削減し、物件売却時には譲渡所得税の20.315%分の税金を支払うため、税率差の約13%相当分を節税できます。

    一方、課税所得が695〜899.9万円の人に課税される所得税の税率は、23%です。長期譲渡税率との差が約3%程度しかないため、投資するリスクが大きく、節税のメリットを受けにくいでしょう。

    また、相続財産として現金を多く所有している人が不動産を購入すると、節税効果が高くなります。なぜなら、同額現金と土地を所有している場合、土地で相続したほうが税金は圧縮されるためです。

    不動産の評価額の基準は、土地は路線価、建物は固定資産税評価額で求められます。

    固定資産税評価額は購入金額や販売金額とは異なり、時価の7割程度が目安とされています。

    つまり、現金1億円を相続すると1億円に対して相続税が課されますが、1億円の不動産であれば約7,000万円に対して相続税が課されるということです。

    なお、2021年の調査では、相続時に相続税が課税された人の割合は、9.3%に留まりました。相続税の節税目的でマンション投資を考えている人は、財産が基礎控除を上回るか計算してから投資しましょう。基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の人数」で求められます。

    参照:
    No.2260 所得税の税率|国税庁

    土地や建物を売ったとき|国税庁

    相続税がかかった人はどれくらいいる?|公共財団法人生命保険文化センター

    No.4152 相続税の計算|国税庁


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      マンション投資で節税のメリットが出にくい人

      マンション投資で節税のメリットが出にくい人は、課税所得が900万円未満の人です。

      900万円未満の人は節税目的ではなく、家賃収入を目的としたマンション投資をおすすめします。収支シミュレーションを行い、マンション投資について勉強を続ければ、安定した家賃収入を得られるでしょう。

      なお、900万円未満の課税所得の人がマンション投資で節税をしたい場合、青色申告をしてください。マンション投資が5棟10室以上の事業規模になった場合、青色申告で最大65万円の特別控除を受けられます。

      青色申告とは、日々の取引を決められた帳簿に記載して、税務署に対して正しい申告を行うことです。借方と貸方で記録する複式簿記によって記帳した場合、55万円の控除を受けられます。さらに、電子帳簿保存またはe-Taxによる電子申告を行うと、最大65万円の控除を受けられます。

      複式簿記の記帳方法が複雑なため、会計ソフトの導入をおすすめします。

      青色申告をするためには、税務署に開業届と青色申告承認申請書を提出する必要があります。2つの申請書はお住まいの地域を管轄する税務署に直接提出するか、e-Taxを使ってインターネットで申請をしましょう。

      参照:No.2070 青色申告制度|国税庁

      マンション投資で失敗しないためのポイント

      マンション投資で失敗しないために、以下のポイントを押さえましょう。

      それぞれのポイントを詳しく解説します。

      節税だけを目的にマンション投資をしない

      節税だけを目的にマンション投資をすると、赤字経営になります。常に赤字を出していると、マンション経営が成立しません。

      また、節税を目的にあえて築年数が経過している物件を購入すると、入居者が集まらずに空室が続いたり、修繕費用がかさんだりする恐れがあります。

      さらに、赤字のままで不動産経営を続けると、追加融資を希望しても審査に通らない可能性があります。

      健全なマンション経営をしたい方は、マンション投資で黒字化できる物件を選ぶ必要があります。

      マンション投資に関するリスクについても理解しておく

      マンション投資は金額の大きな投資であるため、あらゆるリスクを理解し、備えておきましょう。例えば、マンション入居者同士でトラブルが生じる可能性があります。

      何か問題が発生した際は急な対応が求められることもありますが、仕事や住んでいる場所によっては、すぐには対応できない人も多いでしょう。このような場合に備えたい場合は、管理会社に管理を委託する方法があります。

      また、空室が続いて家賃収入が得られない場合、ローンの返済が滞る恐れがあります。築年数の経過によって建物の需要が減る立地もあるため、数年に一度リフォームをしたり、家賃設定を見直したりと、必要に応じた対策を講じましょう。

      トラブルが起こっても対処できるように、投資を始める前に運用計画を立てることが重要です。安定的な運用や将来の売却を考え、ご自身が欲しい物件ではなく、賃貸利用者や投資家に需要がある物件を購入しましょう。

      収支のシミュレーションを行い資金計画を立てる

      マンション投資で失敗しないためにも、収支のシミュレーションを行い資金計画を立てることが重要です。

      資金計画を立てる時は、マンション投資専用のシミュレーションツールを使いましょう。ツールによって異なりますが、シミュレーションする時に必要な情報は、以下のとおりです。

      マンション投資には複雑な要素が絡み合うため、一般的な不動産購入のシミュレーターより入力する項目が多くなります。

      ただし、管理委託料などのコストは不動産会社ごとに異なるため、あくまでもシミュレーターの機械的な予想数字にしか過ぎません。

      最終的なシミュレーションは、不動産会社や専門家に依頼することをおすすめします。

      信頼できる不動産会社を選ぶ

      マンション投資で後悔しないために、信頼できる不動産会社を選びましょう。安定した利益を得るためには、複雑な分野であるマンション投資に精通している不動産会社のサポートが必要です。

      不動産会社を選ぶ時には、以下のポイントを押さえましょう。

      ● マンション投資の実績が豊富か
      ● 非公開のマンションを所有しているか
      ● さまざまなお客様の声を公開しているか
      ● マンションのメリット・デメリットまで伝えるか
      ● マンション投資に詳しい税理士とつながっているか
      ● 担当者は丁寧に対応するか
      ● 顧客一人ひとりに合わせたマンションを提案するか
      ● アフターフォローの内容は充実しているか

      マンション投資は長期間にわたるため、担当者との相性も重要になります。担当者の相性が悪い場合は、変更してもらえるように不動産会社に交渉しましょう。

      複数の不動産会社を比較し、安心して依頼できる企業を見つけましょう。

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      マンション経営と聞くと空室の発生や、家賃の下落・滞納・資産価値の下落などの不安要素が思い浮かぶかもしれません。ですがパートナーとなる会社次第で、ご不安は限りなくゼロに近づけることができます。

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      まとめ

      マンション投資が節税になる理由は、減価償却が有効であり、損益通算できるためです。課税所得が900万円以上の収入がある人は、マンション投資で節税するメリットを受けやすいでしょう。

      ただし、節税するために損益通算するには、マンション投資で赤字を出す必要があります。赤字経営のマンションでは、売却が難しく、不動産投資の主な目的である家賃収入を得られません。節税目的だけでなく、家賃収入で利益を出すことを前提として、投資用マンションを保有しましょう。

      失敗しないためには、マンション投資に関するリスクを理解しておき、あらかじめ収支のシミュレーションをしておくことで、資金不足を回避できます。

      マンション投資を始める時は、信頼できる不動産会社に依頼して、安定した家賃収入を得られるようにしましょう。