「不動産クラウドファンディングとは何?」「不動産クラウドファンディングって失敗のリスクはないのだろうか」─不動産クラウドファンディングという言葉を聞いたことがあっても、どういった投資手段か、どういったリスクがあるのか、疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。
不動産クラウドファンディングへの投資による失敗リスクや魅力、失敗を回避するためのポイントなどを紹介していきます。
【この記事でわかること】
不動産クラウドファンディングとは、運営事業者がWeb上で不特定多数の投資家から資金を募り、集まった資金で不動産の購入・運用を行い、運用期間中の賃料収入や売却益などの収益を分配する投資手法です。
また、そもそもクラウドファンディングとは、Web上で法人やプロジェクトに対して、不特定多数の人から広く資金提供を募る仕組みをいい、購入型や金融型といった種類があります。不動産クラウドファンディングは、2017年の不動産特定共同事業法という法律の改正以降に誕生した比較的新しいクラウドファンディングの形です。
不動産投資は主に4つの手段があり、不動産クラウドファンディング以外には現物不動産投資やソーシャルレンディング、J-REITが挙げられます。
不動産クラウドファンディング | 現物不動産投資 | ソーシャルレンディング (不動産特化型ソーシャルレンディング) | J-REIT (不動産投資信託) | |
---|---|---|---|---|
投資対象 | 不動産 | 不動産 | 不動産事業者 | 投資証券 |
投資金額 | 1万円〜 | 数十万円~+ローン | 1万円〜 | 数万円~ |
運用期間 | 3カ月~3年 | 数年~数十年 | 数ヶ月~3年 | 任意 |
リターンの原資 | 賃料収入・売却益 | 賃料収入・売却益 | 利息 | 賃料収入・売却益/投資証券の売却益 |
平均利回り | 3~8%程度 | 3.5~5%程度 | 3~8%程度 | 4%程度 |
流動性 | 低い | 低い | 低い | 高い |
不動産の運用・管理 | なし | あり | なし | なし |
不動産クラウドファンディングは現物不動産投資と比較して、少ない投資金額からスタートすることが可能で、不動産の運用・管理の手間がかからないという違いがあります。また、現物不動産投資は成果が出るまでに期間を要します。
不動産クラウドファンディングはJ-REITとの比較でも、最低投資額が少なく、手軽に始められます。J-REITは証券取引所に上場しているため流動性が高いのが特徴ですが、反面、価格変動があることがメリットにもデメリットにもなります。
ソーシャルレンディングは企業に対して融資を行い、利息による収益から分配金を受け取るため、リターンを得る仕組みが不動産クラウドファンディングとは大きく異なります。
不動産クラウドファンディングに向いているのは、少額から投資を始めたい人や運用の手間をかけたくない人、中期的な期間で収益を得たい人などです。
不動産クラウドファンディングに限らず、投資を始める際にはリスクについても知っておく必要があります。不動産クラウドファンディングには、次に挙げる失敗リスクがあります。
【不動産クラウドファンディングの失敗リスク】
不動産クラウドファンディングには、投資対象物件の運営や運営事業者に関わる失敗リスクがあります。想定していた収益が得られない可能性があるほか、元本割れなどのリスクも考えられます。3つのリスクを紹介していきますので、理解したうえで投資の判断をすることが大切です。
元本割れとは、投資した金融商品の価格が購入代金を下回ることをいいます。不動産クラウドファンディングにおける元本割れは、運用期間の終了時の償還金と運用による分配金の合計が購入代金を下回るケースが該当します。
不動産クラウドファンディングで元本割れは、投資対象の不動産が売却されたときに売却価格が購入価格を下回ることで起きます。また、想定していた通りの賃料収入が得られないことも、元本割れにつながる要因です。
不動産クラウドファンディングは他の投資手段と同様に元本保証はなく、元本割れのリスクがあります。
不動産クラウドファンディングでは、賃料収入などによる収益をもとに出資割合にもとづいて分配金が支払われます。しかし、想定よりも収益が得られないと、分配金が支払われないリスクがあります。
たとえば、マンションや商業施設では、想定よりも入居率が低く空室が長引いたケースや、賃料相場の下落によって賃料を値下げしたケースなどが挙げられます。
不動産クラウドファンディングの運営事業者は、国土交通省が定める厳しい要件を満たし、国土交通大臣、または都道府県知事から不動産特定共同事業者の許可を得ています。または一定規模以下のファンドは、小規模不動産特定共同事業者の登録を行っています。許可要件や登録要件が設けられているため、倒産するリスクが低いとはいえ、可能性はゼロではありません。
不動産クラウドファンディングでは、運営事業者の資金と投資家の資金の分別管理が義務付けられています。運営事業者が倒産すると、分別管理されている資金は差し押さえの対象にはなりませんが、投資対象物件の売却代金は差し押さえの対象となります。そのため、投資したお金の全額が戻ってこない可能性があります。
不動産クラウドファンディングは少額から投資できるため、投資初心者も挑戦しやすい反面、失敗しがちな要因があります。投資初心者によくある不動産クラウドファンディングで失敗する要因として、以下が挙げられます。
【不動産クラウドファンディングで失敗する主な要因】
初心者が不動産クラウドファンディングへの投資で失敗する主な要因は、不動産クラウドファンディングの特性や不動産投資に関する知識不足によるものです。また、利回りだけで選ぶといった投資先の選定の問題もあります。不動産クラウドファンディングで失敗する主な要因について、それぞれ詳しくみていきます。
不動産クラウドファンディングは1口1万円から投資できる運営事業者があるほか、Web上で申し込み手続きを行えるなど、投資を始めるハードルが低いのが特徴です。しかし、それゆえ、不動産クラウドファンディングの特性を理解せずに始めてしまい、失敗する要因となることがあります。
不動産クラウドファンディングは1つの物件ごとにファンドが組成されるため、投資するファンド選びが重要です。先着順式と抽選式があり、人気があるファンドは先着順式ではすぐに完売となったり、抽選式では倍率が高く購入できなかったりします。募集しているファンドにすぐに飛びつくのではなく、募集開始前から物件情報をチェックして、投資先を熟慮することが大切です。
また、不動産クラウドファンディングは、原則として中途解約できないファンドが中心です。購入した後は、運営期間中は現金化できないことを知っておきましょう。
不動産クラウドファンディングは、現物不動産投資よりは専門的な知識やノウハウを必要としませんが、不動産投資に関する基本的な知識がないと、投資の失敗につながる可能性があります。
不動産クラウドファンディングで物件情報を理解するための基礎知識として、インカムゲインとキャピタルゲインの違い、想定利回り・表面利回り・実質利回りの違いを知っておきたいところです。また、マンションやオフィスビル、商業施設、ホテルといった投資対象物件の種類による特性の違いも理解しておくべきです。
利回りが高いファンドは効率よく収益を得られますが、想定利回りの高さだけを基準として投資先を選ぶと、失敗につながりやすくなります。想定利回りは収益の見込みをもとに計算されているため、必ずしもその通りの利回りが得られるとは限りません。
投資対象物件の物件情報からエリアや立地などの特徴を確認します。また、運営事業者の過去の運用実績から、利回りや分配金の支払い状況、元本割れの有無などをチェックし、信頼できる事業者か検討することが大切です。
不動産クラウドファンディングにはリスクはあるものの、次に挙げるように魅力ある投資手段といえます。
【不動産クラウドファンディングの魅力】
不動産クラウドファンディングは初心者でも投資を始めやすく、運用の手間がかからないといった魅力があります。また、リスクはありますが、利回りの面や優先劣後制度の導入によって、比較的リスクが低い投資手段です。こうした不動産クラウドファンディングの4つの魅力を紹介します。
不動産クラウドファンディングは、運営事業者やファンドによっては1口1万円から投資が可能です。少額投資ができるため、投資初心者や若い世代でも投資を始めやすいのが魅力です。不動産クラウドファンディングへの投資の経験を積んで、慣れてきた段階で1回の投資金額を増やしていけば、より多くの収益が見込めるようになります。
不動産クラウドファンディングはWeb上で会員登録や申し込み手続きなどを行って購入した後は、投資家がやることは特にありません。投資対象物件の入居者の募集や修繕、賃料の回収といった運用や維持管理は運営事業者が行うため、運営期間の終了を待つだけです。運用や維持管理の手間をかけることなく、分配金が入ることが期待できます。
不動産クラウドファンディングは不動産に対する投資する商品のため、株式などの金融商品よりも市況の影響を受けにくいことから、利回りが安定しています。そのため、想定していた収益を得られやすいことが魅力です。
不動産クラウドファンディングの投資対象の不動産には様々なものがありますが、中でもマンションなどの居住用物件は収益が安定しやすいとされています。
不動産クラウドファンディングにも元本割れのリスクはありますが、優先劣後出資制度を導入しているファンドが多く、元本割れのリスクを低減する仕組みがあることも魅力です。
優先劣後制度では、投資家を優先出資者、運営事業者を劣後出資者として共同出資します。そして、損失が出た場合には、劣後出資者の出資分から引くため、損失が劣後出資者の出資分の範囲内に収まれば、優先出資者は影響を受けません。また、分配金は優先出資者に優先して分配されます。
不動産クラウドファンディングで失敗を回避するには、次に挙げるように投資先の選定や投資方法のポイントがあります。
【不動産クラウドファンディングの失敗を回避するためのポイント】
不動産クラウドファンディングで失敗を回避するには運営事業者やファンドの選び方にポイントがあります。また、分散投資をするのは、他の投資手段においても投資の基本です。不動産クラウドファンディングで失敗を回避するためのポイントについて詳しくみていきます。
不動産クラウドファンディングで失敗を回避するには、信頼できる運営事業者を選択して、投資するファンドを選ぶのがポイントです。運営事業者はこれまでの運用歴から、過去に元本割れや分配金の支払い遅延を起こし、信頼性の高い事業者といえるか吟味します。また、運用中のファンドの件数が多いなど、企業規模の大きさも判断材料となります。
優先劣後出資制度を導入しているファンドを選ぶと、元本割れのリスクを軽減できます。運営事業者やファンドによって劣後出資割合には幅があり、一般的な水準は5~30%です。
運営事業者の劣後出資割合が高いファンドほど、元本割れのリスクが低くなります。ただし、劣後出資割合が高いファンドであっても、リスクはゼロではないことを認識しておきましょう。
不動産クラウドファンディングの投資による失敗を回避するには、分散投資をすることもポイントです。1つのファンドに投資すると、万が一、損失が生じたときに大きな損害となります。複数のファンドに投資して運用が好調なファンドがあれば、資産全体では損失が出るリスクを軽減できます。また、複数の不動産クラウドファンディングに投資する場合には、マンションやオフィスビルといった投資物件の種類を変えることで、よりリスクの軽減を図れます。
あるいは、不動産クラウドファンディングに限らず、株式投資や投資信託など、様々な投資手段に資産を分散するのも有効です。
毎年多くのお客様がトーシンパートナーズでマンション経営をスタートしています
将来に漠然とした不安を抱えてはいるものの、なにをしたらよいかわからない……。
トーシンパートナーズではそんなお悩みを抱えるみなさまに、マンション経営をご案内しています。
マンション経営と聞くと空室の発生や、家賃の下落・滞納・資産価値の下落などの不安要素が思い浮かぶかもしれません。ですがパートナーとなる会社次第で、ご不安は限りなくゼロに近づけることができます。
家族のために、自分のために、未来の安心のために、ローリスク&ロングリターンな資産運用を始めてみませんか?
不動産クラウドファンディングは安定した利回りが得られやすく、優先劣後制度によって元本割れのリスクが抑えられているファンドが多いといった魅力があります。また、1口1万円から投資できる運営事業者やファンドがあるなど、初心者でも投資しやすい商品です。ただし、不動産クラウドファンディングには元本割れのリスクや分配金が支払われないリスク、事業者の倒産リスクなどがあるため、失敗を避けるには商品の特性や不動産投資について理解したうえで、投資を始めるのが望ましいといえます。