不動産投資のレバレッジ効果とは?
意味やメリット・リスク・金利の目安を解説

「不動産投資はレバレッジ効果を利用した投資手法」と言われることがあります。一方で、レバレッジ効果とは何か疑問を持たれている方は少なくないのではないでしょうか。

今回は不動産投資を始めようとしている人に向けて、レバレッジ効果を効かせるメリットやリスク、レバレッジ効果を得るためのポイントなどを紹介していきます。

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    不動産投資におけるレバレッジ効果とは

    不動産投資におけるレバレッジ効果とは、少ない自己資金で不動産投資ローンなどを利用した金融機関からの借入によって、大きな利益を得ることをいいます。

    たとえば、自己資金として用意できるのが1,000万円の場合、自己資金のみで購入できるのは、諸費用を含めて1,000万円の物件です。不動産投資ローンを利用して、4,000万円の物件を購入することができれば、より多くの収益を得ることが期待できます。

    「レバレッジ」の意味

    レバレッジ(leverage)には、てこの力、てこの原理といった意味があり、小さな力で大きなものを動かす仕組みのことです。

    レバレッジは不動産投資など投資の分野では、借入金によって手元資金よりも大きな金額の投資を行い、効率よく大きなリターンを狙う投資手法をいいます。

    このほかにもビジネスの分野では、少ない広告予算で施策を展開し、大きな効果が得られそうであれば追加予算を投入するようシーンで、「レバレッジをかける」といわれるなど、マーケティング戦略を中心にレバレッジという言葉が使われています。あるいは財務関連では、財務の安全性を図る指標の負債比率はレバレッジ比率とも呼ばれています。

    レバレッジ効果の仕組み

    不動産投資におけるレバレッジ効果とは、不動産投資ローンなど金融機関からの借入を利用して、自己資金のみでは購入できないような規模の物件を購入し、より多くの家賃収入を得る仕組みです。自己資金に金融機関からの借入金を加えることで、投資効率を高められます。

    不動産投資でレバレッジを効かせる場合と効かせない場合の違いについて、例を挙げてみていきます。ここではわかりやすくするため、購入時の諸費用、賃貸運用による諸経費を考慮していません。

    【レバレッジを効かせる場合】

    (条件)

    自己資金:1,500万円
    借入額:4,500万円
    物件価格:6,000万円
    利回り:5%
    金利:3%
    年間家賃収入:300万円
    利息(1年目・概算):135万円
    実質年間収入:165万円

    自己資金1,500万円で、4,500万円の借入を行い、6,000万円の物件を購入します。ここでは経費を考慮せず、年間家賃収入から利息を引いた金額を実質年間収入とします。

    年間家賃収入は利回りが5%の場合、以下となります。

    6,000万円×5%=300万円

    借入額に金利3%を掛けて1年目の利息を求めます。簡易的に計算するため、元金の減少は考慮していません。

    4,500万円×3%=135万円

    年間家賃収入から利息を引いた金額が実質年間収入となります。実際にはローンの返済には元金の返済も発生しますが、元本は資産となるため考慮していません。

    300万円ー135万円=165万円

    【レバレッジを効かせない場合】

    (条件)

    自己資金:1,500万円
    物件価格:1,500万円
    利回り:5%
    年間家賃収入:75万円

    金融機関からの借入をせず、自己資金1,500万円のみを使い、1,500万円の物件を購入します。ここでは経費を考慮しないため、年間家賃収入が年間収入となります。

    年間家賃収入は利回りが5%の場合、以下となります。

    1,500万円×5%=75万円

    この例では年間収入は、レバレッジを効かせた場合は165万円、レバレッジを効かせない場合は75万円で、90万円の差が生じます。不動産投資ローンを利用すると月々の返済が発生しますが、レバレッジを効かせることで収益のアップが見込めるのです。

    不動産投資でレバレッジを効かせるメリット

    不動産投資でレバレッジ効かせるメリットは、主に3つ挙げられます。

    1つ目は投資効率がよくなり、自己資金のみで投資物件を購入した場合よりも、収益を増やせること。同じ利回りの物件であれば、1,000万円の物件よりも、5,000万円の物件の方が得られる収入が多くなります。

    2つ目として手元資金を多く残せることが挙げられます。たとえば、5,000万円の自己資金がある人が5,000万円の投資物件を購入する際に、あえて2,000万円を借り入れるとします。手元資金として2,000万円が残るため、他の投資手段に資金を投入することや、あるいは何かあったときのための備えとして残しておくことができます。

    3つ目に挙げられるのは、機会損失を防げるという点です。たとえば、自己資金として用意できるのが500万円で金融機関から借入をしない場合は、2,000万円の物件をすぐに購入して、賃貸運用による収益を得ることはできません。金融機関から1,500万円借入して購入すれば、機会損失を防ぐとともに収益を得られる時期が早まります。


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      不動産投資におけるレバレッジ効果のリスク

      不動産投資は金融機関からの借入により、レバレッジを効かせて投資効率を高める手法が主流ですが、リスクもあります。

      レバレッジを効かせるリスクとして、主に次の2点が挙げられます。

      【レバレッジ効果のリスク】

      逆レバレッジの発生

      不動産投資では投資効率を高めるために借入を行いますが、逆レバレッジとは借入をすることで収益が下がってしまうことをいいます。逆レバレッジが発生するのは2つの原因によるものです。

      【逆レバレッジが発生する原因】

      逆レバレッジの原因:金利が高い

      金融機関から借入をする不動産投資ローンなどの金利が高い場合は、利息の負担が大きく、自己資金のみで投資物件を購入した場合よりも、収益が下回ることがあります。

      金利以外を冒頭と同じ条件として、レバレッジを効かせる場合と効かせない場合を比較します。

      レバレッジを効かせる場合は自己資金1,500万円、借入額4,500万円で6,000万円の物件を購入し、投資物件の利回り5%、借入金利6%とします。

      年間家賃収入:6,000万円×5%=300万円
      利息(1年目・概算):4500万円×6%=270万円
      実質年間収入:300万円―270万円=30万円

      年間家賃収入300万円に対して、利息は270万円となり、実質年間収入は30万円です。

      レバレッジを効かせない場合は自己資金1,500万円で1,500万円の物件を購入し、利回りが5%の場合の年間家賃収入は75万円です。

      このケースでは逆レバレッジとなり、レバレッジを効かせない方が多くの収益を得られる計算になります。

      金利が高いことによる逆レバレッジを防ぐための対策として、できる限り低い金利で借入をします。不動産投資ローンの金利は金融機関や融資を受ける人の属性、購入する物件によって異なります。

      逆レバレッジの原因:利回りが低い

      投資物件の利回りが低い場合には、レバレッジを効かせることによって規模の大きな物件を購入できても、利回りが低いと家賃収入が少ないため、逆レバレッジとなります。

      今度は利回り以外を冒頭と同じ条件として、レバレッジを効かせる場合と効かせない場合を比較します。

      レバレッジを効かせる場合は、自己資金1,500万円、借入額4,500万円で、6,000万円の物件を購入し、投資物件の利回り2.5%、借入金利3%とします。

      年間家賃収入:6,000万円×2.5%=150万円
      利息(1年目・概算):4500万円×3%=135万円
      実質年間収入:150万円―135万円=15万円

      年間家賃収入150万円に対して、利息は135万円で、実質年間収入はわずか15万円です。

      レバレッジを効かせない場合は自己資金1,500万円で1,500万円の物件を購入し、利回りが2.5%とすると、年間家賃収入は37万5,000円です。

      このケースのように利回りが低いと、逆レバレッジになってしまうことがあります。

      都心部の物件のほか、新築物件など取得価格が高い物件は利回りが低くなりやすいため、注意が必要です。また、逆レバレッジを防ぐには、入居者が退去したタイミングで設備を充実させるなどの改修を行い、家賃をアップするといった対策が挙げられます。

      期待通りの利回りが得られない

      不動産投資ローンの金利や満室想定の家賃収入による利回りでは、レバレッジ効果を得られる計算であっても、実際には期待通りの利回りが得られないことがあります。期待通りの利回りが得られない原因として、空室率が高いケースや家賃を滞納する入居者がいるケース、あるいは災害によって被害を受けたケースなどが挙げられます。

      たとえば、家賃5万円の部屋が5室あるアパートを6,000万円で購入したとします。

      満室時の年間家賃収入:5万円×5(室)×12(ヶ月)=300万円
      満室時の利回り:300万円÷6000万円=0.05 5%

      満室時の利回りは5%です。しかし、空室が2室発生し、空室率40%になると、利回りは低下します。

      空室率40%の年間家賃収入:5万円×3(室)×12(ヶ月)=180万円
      空室率40%の利回り:180万円÷6,000円=0.03 3%

      この例では、空室が2室になると、利回りは3%に低下します。

      空室リスクを防ぐには立地条件を重視し、長期的な需要が見込めるエリアに絞って投資物件を探すべきです。また、退去者が出たときに空室期間を長引かせないためには、入居者募集に強い賃貸管理会社を選ぶこともポイントです。

      また、災害リスクに備えて、投資物件を検討する段階でハザードマップを確認し、地震に備えて耐震性の高い物件を選択するほか、火災保険や地震保険に加入しておきましょう。

      融資を活用する不動産投資でレバレッジ効果を得るポイント

      不動投資ローンなど融資を活用した不動産投資でレバレッジ効果を得るには、イールドギャップについての理解しておくことが大切です。

      不動産投資におけるイールドギャップとは、投資物件の利回りと借入金利の差をいいます。たとえば、投資物件の利回りが5%、不動産投資ローンの金利が1%の場合は、「5%ー1%=4%」という計算式から、イールドギャップは4%です。

      逆レバレッジを発生させずにレバレッジ効果を得るには、イールドギャップを高めることが必要です。

      イールドギャップを理解したうえで、不動産投資でレバレッジ効果を得るポイントして以下が挙げられます。

      【不動産投資でレバレッジ効果を得るポイント】

      借入時に金利を低くする

      レバレッジ効果を得るためには、金利が低い方がイールドキャップを高められるため、不動産投資ローンはできるだけ低い金利で借入をするのがポイントです。

      金利は金融機関によって異なり、個人の属性や投資物件にもよります。金利が低い方から「都市銀行」「地方銀行・信用金庫」「ノンバンク」の順で、金利が低いほど融資審査が厳しくなるのが一般的です。

      できる限り低い金利で借入をするには、付き合いのある金融機関に打診する、不動産会社の紹介を受けるといった方法があります。あるいは、まずは都市銀行をまわり、融資が受けられなければ地方銀行といった形で、金利が低い金融機関から順番に打診していきます。

      逆レバレッジを防ぐには、不動産投資ローンの金利は2%程度までに抑えるのが理想的です。

      物件の利回りを高くする

      投資物件の利回りが高い方がイールドギャップが高く、レバレッジ効果を得られます。

      投資物件の検討段階では、不動産ポータルサイトを利用したり、不動産会社を回ったりするなどして、利回りの高い物件を探します。また、物件の利回りを維持するには、賃貸需要が高いエリアの物件を購入することもポイントです。ターミナル駅にアクセスしやすくスーパーやコンビニなどの生活利便施設が整っているエリアや、保育園や小学校などが近く子育てがしやすいエリア、再開発などにより今後の人口の増加が見込めるエリアなどに立地する物件が該当します。

      また、賃貸運用においては、リフォームやリノベーションによって物件の価値を高める、家賃を高く設定して利回りを高める方法もあります。

      イールドギャップを踏まえると、最低でも利回りは4%程度、できれば5%以上が目安となります。

      融資期間を長くする

      不動産投資では融資期間が長い方が、月々の返済額を抑えられるため、レバレッジ効果を得られます。

      融資期間による違いについて例を挙げてみていきます。ここでも便宜上、諸経費などは考慮していません。

      (条件)

      自己資金:1,500万円
      借入額:4,500万円
      物件価格:6,000万円
      年間家賃収入:300万円

      融資期間35年:年間返済額178万8,816円
      →年間キャッシュフロー:300万円ー178万8,816円=121万1,184円

      融資期間20年:年間返済額273万1,764円
      →年間キャッシュフロー:300万円ー273万1,764円=26万8,236円

      元利均等返済では融資期間が長いほど総返済額が多くなりますが、1年間で得られる収入は融資期間が長いほど多くなります。

      キャッシュフローを得られるか確認する

      不動産投資では賃貸運用したときの収支でキャッシュフローを得られるか、確認しておくことが大切です。節税目的の場合を除くと、毎年の収支が黒字にならなければ、不動産投資として成り立たないためです。

      キャッシュフローは「純営業利益ーローン返済額」という計算式で求めます。純営業利益は、満室想定の家賃収入から損害保険料や修繕費用、賃貸管理手数料などの諸経費のほか、空室による損失などを引いたものです。

      購入を検討する物件が見つかった段階で、不動産会社にキャッシュフローが得られるか、シミュレーションを依頼しましょう。

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      まとめ

      不動産投資はレバレッジ効果を利用しながら、賃貸運用によって収益を得ていくのが基本です。ただし、不動産投資ローンの借入金利が高かったり、購入した投資物件の利回りが低かったりすると、レバレッジ効果が低くなります。不動産投資で収益を確保するには物件選びが大切ですが、金融機関から金利の低い融資を引くことも重要といえます。