インタビュー実施日:2022.04.19
約4兆5,000億円ともいわれる国内の不動産投資市場。日本の不動産価値は世界的にも安定傾向にあるといわれ、多くの投資家が動向を注目しています。今回は、不動産コンサルティングを行う株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズの代表取締役の午堂登紀雄様に、不動産投資の魅力からメリット、デメリットまで、リモートにてお話を伺いました。(オンラインMTGにて取材を実施)
<本記事取材のインタビュイー様>
午堂登紀雄氏
株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズ 代表取締役
大学卒業後、都内の会計事務所に入社し、企業の税務・会計支援業務に従事。戦略系経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルへ転職し、経営コンサルタントとして勤務。2006年には不動産仲介を手掛ける株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。不動産コンサルティングや教育関連事業を手掛けながら、経営者兼個人投資家やビジネス書作家としての顔を持ち、幅広い分野で活動を行っている。
サラリーマンのときに、不労所得を作りたいと思ったのがきっかけです。毎日仕事がハードでしたので、こんな働き方はいつまでもできないですし、仕事のペースを落とすのであれば転職も考えましたが、年収ダウンの可能性もないとは言い切れません。
そこで33歳のときに、70万円しかなかった貯金を不動産投資により、1年間で資産3億円を形成し、毎年1,200万円のキャッシュフローを得るまでになりました。
不動産投資は相場変動が緩やかですので、株価や為替のように一日で大きく動くということがあまりありません。ですので、投資家自身が平穏な気持ちで生活できるというのが大きなメリットだと思います。
またリスクが読みやすいというのも、不動産投資の安心材料ですよね。家賃相場も周辺から大体見えてきますし、毎年かかるコストもほぼ決まっているので、収支が見えやすいというのは、投資においてとても大切なことです。
私が所有する不動産も、管理会社に管理を委託しているので、自分の時間や労働力を投入しなくても収入が生まれるスキームができています。私自身、今年に入ってから不動産投資に対してまったくといってよいほど、時間を使っていないので、身体的にも精神的にもとてもラクですね。
他の投資と比べると投資金額が大きいというところでしょうか。株式投資なら数万円~数十万円で購入できると思いますが、不動産投資は数千万円の金額が一般的。その金額の多さがどこか怖いというイメージを作ってしまっているかもしれません。
不動産投資においてローンを組む場合は金融機関の審査があるので、自分の希望する金額の物件を買えないということも起こりえます。投資信託であれば、毎月数千円からというような少額で投資ができますが、不動産投資となると、数百万~数千万円の自己資金が必要になりますので、ある程度貯蓄がある人しか投資ができないというのがデメリットといえるかもしれません。
ただ不動産会社によっては、提携する金融機関のローンで満額融資ができるという場合もありますので、必ずしも多額な自己資金が必要ではないケースも少なくありません。
また、実際不動産投資を始めてみると、立地条件が整えさえすれば、入居者も集まりますし、高い入居率をキープすることができます。それにより毎月安定した家賃収入を得ることができますので、私自身はリスクやデメリットをあまり感じていないというのが正直な意見です。
以前は減価償却の計上をすることで節税対策も期待できたのですが、税制改正に伴い償却可能限度額や残存価格が廃止、新たな償却率が導入されています。減価償却の計算を定額法へ一本化してしまったため、今では節税効果が期待できない状況になりました。例えば鉄筋コンクリートの新築物件であれば、法定耐用年数である47年間に渡り、毎期、同額の減価償却費を計上するといった仕組みです。
現時点で一番効果が高い節税対策は、相続税になります。土地や建物は時価よりも相続税評価額が低くなり、さらにローンを組んで不動産を購入すれば、相続税評価額が圧縮されますので、とても効果があるといえるでしょう。
また課税売上高が1,000万円を超える個人事業者は、消費税課税事業者に該当しますが、賃貸用不動産であれば、家賃収入は非課税になりますので、消費税を納付する義務は発生しません。そういう意味では他の事業をやるよりは不動産投資のほうが節税効果はあるといえるのかもしれません。
以前に、区分ワンルームマンションを購入した際に、空室リスクに関係なく一定の賃料が得られるサブリース(家賃保証)契約を結んだことがあります。ですが、そのサブリース会社が2008年のリーマンショック後に経営危機に陥りまして、私への家賃振込が滞りはじめたので、別の管理会社に切り替えるといったことがありました。
また、中古物件を購入した途端に大きな修繕費用がかかってしまったという話や、利回りが高いと思って購入したら、空室が多く出てしまったという話はよく耳にしますね。
自己資金は多ければ多いに越したことがないというのが、答えになってしまいますが、ローンを組む場合を想定しますと、貯金ゼロの人に貸せるというまともな金融機関はありませんよね。ローン審査するときにも保有する金融資産の残高証明書を提出しますので、「これだけ貯蓄があります。」とか、ある程度の貯蓄能力のエビデンスが必要です。
最低でも年収400万円以上、ほとんどの金融機関は年収500万円を超えることが望ましいとされているはずですね。金融機関によって異なりますが、本人の年収ベースで計算するのか、世帯年収で計算するのかなどの計算方法があります。
結論できます。ローン審査において土地の評価額や物件の利回り、本人の金融資産、年収のチェック項目の中で、どれを重要視するのかは金融機関によって異なります。ですから、不動産業者を通じて、提携している金融機関がどこを重要視しているのかをヒアリングし、その条件に見合う不動産を探すというのは、少ない自己資金で不動産投資を始める方法のひとつといえるでしょう。
また優良な不動産業者であれば、複数の金融機関とお付き合いしているので、投資する人に向けて最適な金融機関とプランを提示してくれるはずです。
確かにローンを組むようであれば、金融機関に足を何度も運ぶ手間だけでなく、会社員でしたら、会社側に源泉徴収票を発行してもらう、自営業者であれば、確定申告書の決算書3期分を揃えるという書類手続きは、どうしても必要になります。
ただ、不動産会社を通してローンを組むのであれば、提携している金融機関の物件審査が済んでいるため、審査の手続きが通常のローンよりも簡単で、審査期間も短く、手続きを代行してくれるなどのメリットもあります。
ただし、確定申告は不動産投資を行う場合、毎年必要になりますが、収益を考えれば、面倒と思わないようになるはずです。
そして、ローン審査に落ちないためには、カードローンをしないということが大原則です。クレジットカードの延滞も絶対にしないということも大切ですね。信用金融取引は個人信用情報のデータベースがあるので、経済的信用に傷がつく行為は絶対にしないこと。あと忘れがちなのは、自動車のカーローンも全額返済することです。
もし現在ローンなどがある人でも、年収が高い人や、貯蓄が多いという人であれば、審査は通りやすいといえるでしょう。金融機関の立場に立って、どういう人にお金を貸したくなるのかという視点を持つことが大切です。
いろいろな要素があると思いますが、ひとつは契約を迫らないで丁寧な対応をしてくれる営業の方がいる不動産会社ですね。もちろん会社なので、売上げやノルマなどを達成することは大切なのですが、買い手の気持ちになってニュートラルなスタンスを取ってくれる、そんな会社は信用できると思っています。
また、話していて楽しいとか、自分にとって勉強になるというのも、私にとっては判断基準になっています。
新築物件であれば当然ながら設備が新しいので、当面修繕の必要がないというメリットがあります。またローンも中古物件でしたら、法定耐用年数から経過年数を差し引いた年数が返済期間として設定されてしまいますが、新築物件でしたら法定耐用年数が長いので、審査が通りやすい(自己資金も少なくて済む)といえるでしょう。
デメリットとしては、新築であるがゆえにデベロッパーの利益も乗っているので、一般的に価格が高いんですね。同時に新築物件ですと、人気が高いので、新築プレミアとして家賃を高く設定しても入居してもらえることが多いのですが、その人が退去したら中古物件になるわけです。新築プレミアで家賃を高く設定していた物件の場合、物件周辺の相場に合わせた家賃設定にしなくてはいけませんので、予定していた収支が計画通りに進まないという状況になりがちです。
中古物件はもちろん新築物件より安く購入できますし、その物件の現在に至るまでの収支状況を確認できるので、家賃収入の目安が立てやすいというのがメリットです。
デメリットは、築年数にもよりますが、設備が古くなっているので修繕が発生するかもしれないので、多額の修繕費がすぐに必要になることがあります。また、中古物件の場合、新築よりも資産価値が下がるので、金融機関の審査も厳しい傾向があり、ローンを組もうとしても、融資額が希望額に届かないケースも発生するでしょう。
私が目安にしているのは大都市圏で都心部から電車で30分以内のエリアで、駅から徒歩10分圏内の物件を選ぶようにしています。学生や仕事を求めて人が集まってくる大都市圏の賃貸市場なら、社会的な問題である人口減少の影響も受けにくいのが現状です。
もちろん、地方でも自分に土地勘があったり、他のエリアと違う特徴があって需要がある立地であれば、選ぶこともあります。駅前が賑わっている場所はとても気になりますね。
ただし、例えばそのエリアには学校しかない、工場しかないというような場所ですと、住む人も限定されますので避けるようにしてます。
中年層や高齢者の単身世帯が急増しているのにも関わらず、単身者向けの物件の供給が減っているので、家賃設定が高くできるというメリットがあります。将来的にワンルームマンションは供給不足になる可能性があるので、投資として魅力的といえるでしょう。
日本の少子高齢化が続き、人口減少時代といわれていますが、まだまだ不動産投資は資産形成に効果的であると実感しています。年間約80万人以上の子どもが生まれ、その子どもたちが進学する、就職する、都市部へ行くという動きを考えても、まだまだ新たな賃貸ニーズが産まれ続けるはずです。魅力的な立地条件でリーズナブルな賃料設定であれば、賃貸ニーズが大きく減ることはないと考えていますので、まだまだ収益を生む魅力的な資産運用方法といえるでしょう。
「不動産投資はやりたいと思ったタイミングで、すぐにやるべきです」と話す午堂さん。長期的に安定した不労所得を得ることは、これからのあなたの人生をより豊かなものにしてくれるきっかけになるかもしれません。