インタビュー実施日:2023.06.01
<本記事取材のインタビュイー様>
渕ノ上 弘和氏
株式会社MFS INVASE(不動産投資事業)事業執行役員/コンドミニアム・アセットマネジメント株式会社 代表取締役/株式会社FFP 代表取締役
大学卒業後、コンサルタントとしてECサイト運営会社を起業。同時に不動産コンサルタントとしても活動し、法律資格の講師を務める。区分所有建物の資産価値向上に興味を持ち、大手マンション管理会社で業務を経験。自ら考案した「コンドミニアム・アセットマネジメント」の概念を提唱し、不動産仲介事業に参入。コンドミニアム・アセットマネジメント株式会社の設立時に代表取締役に就任。
自身の投資可能額が分かる「バウチャー」の発行をはじめとし、売却査定、借り換えの確認、カウンセリングなどを行っています。不動産投資を検討されるお客様は「どんな物件が販売されているのか」「どうやって始めればいいのか」「融資に関する情報が会社によって異なり、何を信じればいいのか分からない」など様々な疑問をお持ちです。お客様の疑問を解決していくと同時に情報の非対称性を無くし、より多くの選択肢を見つけていただきたい、与信枠が分かるだけではなく、お客様それぞれの目的に合った物件を選ぶことができるところまで見届けたい、という思いでサービスを運営しております。
初めて不動産投資や、2件目を検討されているような前向きなモチベーションの方もいらっしゃれば、単に自分の与信枠がどのくらいなのかを好奇心から知りたいという方など、様々なお客様がいらっしゃいますね。また、お客様によって面談の回数や時間なども様々です。多い方で7,8回面談を重ねる方もいらっしゃいます。
物件の種類や特徴、リスク・リターン、物件の見極め方、税金関係、経済動向など様々なお話をさせていただいております。また、不動産業界へ不信感をお持ちの方も一定数いらっしゃるので、会社ごとの強みなども正しくお伝えすることを心がけております。確かに一昔前は、ひどい不動産会社も見受けられましたが、私たちがお付き合いしている不動産会社は本当に真面目にやられています。その良さが伝わっていないのは非常に勿体ないですよね。お客様の中には「騙されたくない心理」が働き、不動産会社が発信している情報をポジショントークと捉えてしまう方も一定数いらっしゃいます。もちろん自社のセールスポイントをアピールしている部分もあるかと思いますが、全てがそうではありません。お客様と不動産会社の中立の立場だからこそ、お客様が正しい情報をインプットするためのお手伝いをし、同じ目線に立って並走していきたいと思っております。
結論、「この物件が一番良い」というのはありません。なぜなら、お客様それぞれの目的によって最適な物件が違うからです。不動産投資には様々な種類があり、新築or中古、区分or一棟などそれぞれに良さがあります。一点気を付けていただきたいのは、「不相応に価格や賃料が設定されていないか」というところですね。よくあるのは、利回りが高いというだけで判断し、失敗してしまうケースです。利回りが高いということは、物件価格が安い、もしくは、賃料が高い、どちらかの異常値です。家賃相場は決まっていますので、高利回りを売りにしている場合には注意していただきたいですね。そのうえで、どのような目的で不動産投資を行うかを念頭に、自分に合った物件を選んでいただきたいです。
様々なAIが登場しており、どれも非常に優れた技術でとてもリスペクトしています。不動産分野においては価格推定などに活用され始めており、客観的な指標で評価できる点は情報の差を埋めることに役立つ可能性があります。しかしAIでの価格推定はデータクレンジングや異常値の排除が重要となる一方で、異常値を排除しきれないなど、提供される価値と現実にはまだまだギャップがあると感じているのも事実です。我々はお客様に対して不動産に関する知識を持ってもらい、適正価格を理解してもらうことが重要という価値観を持っていますので、マッチングサービスを通じてWin-Winな関係を築き、より良いサービスを提供したいと考えています。そのためただAIを利用して、客観的な指標を提供するだけでなく、その先の評価の仕方や数字の見方など、エージェントがお客様目線で丁寧に説明する役割を担う必要があると思います。
不動産投資はやらない理由が無いと本気で思っています。不動産投資はローンレバレッジに強く、「時間がお金になる」という特徴があり、安定的な不動産を所有すれば失敗する確率が低い運用商品といえます。したがって「ゆっくり時間をかけて、確実に資産を築いていきたい」という方にお勧めです。まずは、面談で学びながら、自分の目的を整理し、前に進めていただきたいですね。
「不動産に関する知識を、売る側も買う側もきちんと身につけることが大事。Win-Winな関係を重視していけば、不動産業界はさらに盛り上がり、とてもいい世界になると思います。」と話す渕ノ上さん。情報社会の中で、誤った情報に惑わされず、いかに正しい知識を身につけるかが不動産投資の成功のカギといえるかもしれません。